スターウォーズ・シリーズ その11
共和政崩壊とジェダイの滅亡
このあと、シディアスが銀河レジームの軍事力を掌握しながら、他方でアナキンをダークサイドに取り込んでジェダイ聖堂の育成しすてむを破壊させ、シディアス自身がシスとしての正体を現してジェダイを滅ぼし、共和政を粉砕していく過程が描かれるのが、エピソードⅢである。
さて、ダース・シディアスは、一方ではドゥークゥ伯爵をつうじて分離主義派を組織して共和政レジームに敵対する戦いを煽り、他方では元老院議長パルパティーンとしてクローン軍団を主力とする共和派軍を操って分離派への戦いを仕かけていた。つまり、銀河系規模での戦争で敵対する両陣営を巧みに操っていたわけだ。
分離派も共和派も互いに相手を破壊しようとして傷つき、疲弊していった。
したがって、シス族の領袖シディアスは、共和派への破壊攻撃手段としては分離派を育て上げてとことん利用しながら、いよいよ共和政が崩壊するのが不可避の段階になると、残酷に分離派の首領たちを葬り去ろうとしていた。
シディアスの描いたシナリオどおりに、共和派と分離派の戦争は数年間続いて、いよいよ共和政銀河連邦はいたるところで解体し始めた。
分離派の指導者グリーヴァス将軍――機械化された骨格を持つサイボーグで、体内に埋め込んだＩＴ電磁装置で疑似フォースを操る――は共和派の心臓部への攻勢を強めた。そして、ついに惑星コルサントを襲って、議長パルパティーンを略取してしまった。
グリーヴァスといえども、しょせんはシスの戦略のチェスボード上の捨て駒にすぎないから、パルパティーンの正体がシディアスだとは知らなかったのだ。
皮肉なことに、ジェダイたちはグリーヴァスに拉致されたパルパティーンの救出に必死に取り組むことになる。そしてジェダイ仲間の壊滅という大きな犠牲を出して議長を奪還した。この拉致劇が仕組まれた陰謀だとも知らずに。
だが、パルパティーンを救出して元老院議長の職務に復帰させてみると、議長の政務はおそろしく独断的でスキャンダルまみれだという実態が明らかになった。ジェダイ評議会は、パルパティーンに対して批判的になり、警戒を強めた。
これに対してパルパティーンも、ジェダイに対抗するために買収や権謀術数を駆使していった。
この権力闘争は、元老院での政治闘争や駆け引きにも現れた。こうして危機に見舞われたレジームの内部では、ジェダイと議長との権力闘争が展開されて、レジームはいよいよ混乱していった。
ところで、アナキンはきわめて不安定で危うい立場に立っていた。
これまでの数々の功績からジェダイマスターの資格を与えられたが、これまでの制度ではマスター資格はジェダイ評議会議席をともなうものであったにもかかわらず、評議会の議席を認められなかった。
というのも、ヨーダやウィンドゥなどの指導者たちは、ジェダイの資質では飛び抜けているアナキンの精神状態に危うさを感じていたため、まだ若い――精神修養が不十分――として議席を与えなかったのだ。
それが、アナキンには大いに不満だった。
パルパティーンは、そんなアナキンにつけ入って自分の影響力化に取り込もうとし、ついにはシスとしての正体を明かして、妊娠したパドメの命を救うためにという理由でダークサイドに引き込んでいった。
アナキンとしては、ジェダイ評議会に不信を募らせていただけに孤立していた。そして、彼の心のなかは、パドメの命を救いたいという願望で占められていた。ほかのことは見えなくなっていたのだ。
結局、マスター・ウィンドゥとシディアスとの闘争でアナキンはシディアスに味方して、ウィンドゥ殺害に手を貸してしまった。毒食らわば皿まで、というわけで、アナキンは悪鬼羅刹に転じ、シディアスの指示どおりにジェダイ聖堂で幼児から青年までのパダワン全員を殺戮した。
シディアス＝パルパティーンはこの機に乗じて、全軍に「ジェダイが元老院と共和政に敵対する側に立ったがゆえに彼らを撲滅せよ」という命令を下した。
こうして、銀河の各地にいるジェダイがクローン軍団によって包囲され掃滅されていった。こうして銀河連邦共和政レジームの中核的な統治装置としてのジェダイ階級と評議会は滅亡した。
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