惑星タトゥーインで母とともに債務奴隷として悲惨な生活を送っていたアナキンは、戦乱から脱出してきたクィガンとパドメ・アミダラ女王と偶然出会うことになった。そして、クィガンや女王とともに共和派に加わって戦うことになった。それは、ジェダイとしての試練を受ける道へ進むことでもあった。
ところが、個々の戦いでジェダイや共和派が勝利しても、シス派の影響力の拡大と共和政の崩壊は押しとどめようもなく進んでいった。
「エピソードT」は、少年時代のアナキンの物語で、彼の境遇と優れた才能(フォースをあつかう資質)、そしてクィガン、その弟子オビワンとの出会いから始まった冒険の始まりを描いている。少年アナキンの冒険の物語のあらましをたどりながら、彼を取り巻く銀河世界の社会状況やら権力構造を分析してみよう。
この銀河系で恒星系間の貿易を営む目先の利に敏い商人たちは、同盟を結び「通商連合」という利益団体を結成していた。近視眼的で露骨な欲得で動く通商連合は、ダース・シディアスの巧みな利益誘導に乗ってシス派と密かに同盟を結び、銀河共和政を分裂させようとしていた。
そのため、惑星ナブーに通商連合の遠征軍を派遣して占領しようとしていた。遠征軍は、ナブーの陸上の大半を支配する人類型種族の女王アミダラを捕縛して、通商連合への従属条約を結ばせようとしていた。
この戦乱の危機を察知した銀河共和政元老院とジェダイ評議会は、通商連合との講和交渉役としてクィガンとオビワンを派遣した。
ところが、通商連合の罠に陥れられたクィガンとオビワンは、惑星ナブーでの交渉の場に行きつくことができずに、遠征軍の奇襲と追撃を受けることになった。仕方なく、ナブーに不時着して、「水中の独立国」に逃れることになった。
水中の独立国とは、ナブーの陸上の大半を支配する人類型種族に反感を持つオトウ・グンガ族が地上を逃れて水中につくった国。とはいっても、水という障壁の向こう側に、肺呼吸ができる大気と大地がある不思議な世界である。
そこで、クィゴンたちが出会ったのは、何やら大きな失敗・不手際でこの国から追放されたジャージャー・ビンクスというグンガ族の若者だった。その若者と道連れになって冒険を繰り返すうち、ジャージャーの機転のおかげでクィガンは危機を脱することができた。そして、通商連合の征服に対してナブー人王国と連帯して戦う同盟にグンガ族全体を引き入れることができた。
とはいえ、遠征軍の戦力は圧倒的で、クィガンたちはどにうにかパドメを救出してかろうじてナブーを脱出するしかなかった。ところが、脱出に利用した宇宙船は、遠征軍の包囲網に引っかかって破損したため、惑星タトゥーインに不時着することになった。
こうして、クィガンやパドメとアナキンが偶然出会うことになる。
アナキンは高速で飛翔する乗り物を操縦する能力にかけては飛び抜けていた。それもフォース資質なのかもしれない。
アナキンはその能力を生かして、ポッドレイシング――左右1対のターボジェットエンジンによって牽引されるポッドによるギャンブル競技――に勝利して賞金を獲得し、クィゴンたちが乗ってきたロケットの修理部品代金を手に入れた。
そして、ジェダイとしての並はずれた資質をクィガンに見出され、母親と別れてコルサントに旅立つことになった。
ところで、アナキンのフォース資質は、これまでのいかなるジェダイ騎士もおよばないような――素質としてはマスター・ヨーダをもしのぐほどに――強力なもので、それが逆にジェダイ評議会のメンバーに不安を与えることになった。
ともあれ、惑星ナブーの危機を救うために、ふたたびクィゴンとオビワン、パドメらが惑星ナブーに赴くことになり、彼らの戦いにアナキンも加わることになった。
共和派はどうにかナブー解放戦争には勝利したが、しかし戦いのなかでクィゴンはダース・モールとの戦闘に敗れて殺されてしまった。というわけで結局、アナキンはオビワンの弟子になることになった。