この間に2つの闘いがあった。
1つは、元老院議事堂でのシディアスとマスター・ヨーダとの闘い。もう1つは、惑星ムスタファーでのアナキンとオビワンとの死闘。
元老院議事堂でのヨーダとシディアスとの闘争は五分五分だったが、シディアスがクローン軍団を呼び寄せる寸前にヨーダは議事堂から逃れ出て、コルサントから銀河辺境に逃げ落ちていった。
オビワンは、ヨーダ評議会の命令によって、シス派に転落したアナキンを探し出し、ダークサイドから抜け出させ、抜け出せなければ討ち取るという任務を与えられた。
そのときアナキンは、シディアスの命令で、今後シス派の銀河支配の邪魔になりそうな分離派の頭目たちを惑星ムスタファーに呼び集めて、これまた皆殺ししようとしていた。ただし、この旅にはパドメが同行していた。
ムスタファーは、地表全体が金属のマグマに覆われた溶鉱炉のような惑星で、銀河系全体の需要をまかなうために巨大な製鉄プラントが設置されていた。この惑星で、アナキンはシディアスの命令どおりに分離派の頭目たち全員を殺戮した。
もちろん、残虐な仕打ちはパドメには秘匿しておこなったものの、パドメはアナキンの不気味な変貌に感づいていた。パドメは深刻な苦悩=ディレンマに陥った。
そこに、オビワンが到来してアナキンに闘いを挑んだ。ここでも闘いは五分だったが、憎悪にとらわれすぎたアナキンが自分の過信とミスで闘いに敗れてしまった。両脚を断ち切られたアナキンはマグマの流れの畔に倒れた。そして、高温のなかで前身焼けただれていった。
この状況設定はかなり変である。
そもそもマグマの奔流の上でも、マグマ化した金属から立ち上る金属の蒸気で気温は1000℃くらいはあるのにアナキンもオビワンも火傷一つ負わずに闘い続けていた。つまりは彼らは高温のなかで平気だったわけだ。にもかかわらず、アナキンが焼けただれるというのは、筋が合わない。論理不整合がある。
さて、オビワンはパドメを連れて帰還した。そしてパドメは産気づいた。が、パドメはもはや生きる気力を失っていたので、双子の男女を生むと同時に死んでしまった。
あとに残された双子のうち、女の子レイアの方は、生き残ったジェダイの夫婦が秘密裏に自分たちの惑星に戻って、そこで養子として育てられることになった。男の子ルークの方は、オビワンが引き取ってタトゥーインのアナキンの義兄弟夫婦に育ててもらうことにした。
このことは、固く秘匿され、オビワンとヨーダ、そして育ての親たち以外には誰も知ることはなかった。双子の姉弟は出自を秘して育てられることになった。
ともあれ、クローン軍団によるジェダイ掃滅戦争のあと、生き延びたジェダイもことごとく滅ぼされ、元老院の公式記録では、もはやこの銀河系にはジェダイは存在しないものとされた。
ヨーダもオビワンも身分を隠して、辺境で生き延びることになった。
ところで、シディアスは、ムスタファーでまだ瀕死の重体に陥ったアナキンを救出して治療をおこない、破壊された身体組織や機関を人造マテリアルや機械装置に置き換えて、強烈なフォースを持つダース・ベイダーとしてよみがえらせた。
ダークサイドに転向した者は心の底では他者を信用せず、他者に従うことを嫌い、自らのギラギラした欲望や野心を追求しがちになる。だから、アナキンはいったんはシディアスの軍門に下った振りをしながら、やがて彼を殺して自分が銀河帝国の支配者になるつもりだった。が、パドメの死を知ると、すっかり気力を失い、シディアスの副官として生き延びる選択をした。ニヒルな変節者となったわけだ。
銀河共和政レジームは完全に滅び去った。シディアスはもはやパルパティーンという仮面を脱ぎ捨て、シス族のグランドマスターとなり、ダース・ベイダーを副官として、銀河系を帝国レジームのもとに統合する企図に乗り出していった。