そのときアナキンは、パドメとともにタトゥーインにいた。生き別れたままの母シミの行方を追っていたのだ。
アナキンと別れてからシミは、開拓農民の男に売られた。その男はシミを奴隷から解放して妻としたという。
アナキンは、その農民の家を尋ねた。が、その男は掠奪を生業とする部族に襲撃され、シミは、彼らに略取されてしまって、行方不明だった。
アナキンはどうにか掠奪部族の野営地を探し当て母を助け出したが、母は捕えられ虐待されたために瀕死の重傷を負っていた。言葉を交わす暇もなく、シミはアナキンの腕のなかで息絶えた。
怒りと憎悪に駆り立てられたアナキンは、その部族を――女性や子どもも含めて――皆殺しにしてしまった。アナキンは家族のことになるとあまりに感情的になって、視野が狭くなり、ときには抑制が効かず激情に走ってしまうようだ。フォースを扱う資質は強いが自己抑制する知性や理性に欠ける人格なのだろう
我に返ったアナキンはパドメとともに宇宙船に戻り、オビワンの危難を知ることになった。そして、パドメとともにジオノーシスに救出に向かうことになった。
ところが、ドゥークゥ伯爵は、これまた網を張って待ち伏せていた。2人は分離派によって捕えられてしまった。
分離派によって捕えられたオビワンとパドメ、そしてアナキンには残酷な処刑が待っていた。3人は広大なコロセウム型の処刑場に引き出されて、柱状の岩に鎖で縛りつけられ、獰猛な怪獣たちの餌食にされようとしていた。分離派の兵士たちはコロセウムの観客席にふんぞり返って、残酷な見世物を見物していた。
ところが、アナキンたちはそれぞれに反撃を開始して、怪獣たちを撃退したり手なずけたりしてしまった。すると、分離派は兵器や兵士を処刑アリーナに送り込んで、3人を仕留めようとした。激しい闘いが展開しようとしていた。
おりしもそこに、マスター・ウィンドゥ率いるジェダイ騎士の部隊が現れて3人を助けようとした。コルサントでオビワンからの急難信号を受信したジェダイ評議会が、彼らを派遣したのだ。
ところが、ドゥークゥたちはジェダイ部隊の参戦をも予期して、強力な攻撃戦力を配置していた。ジオノーシスでは壮絶な闘争が展開されることになった。
分離主義者たちの惑星全体をあげての包囲網のなかで、ジェダイたちは形勢不利となり、1人、また1人と斃されていった。ジェダイたちは最後の決戦を決意して、一団に集合して、敵の攻撃に備えることになった。彼らの壊滅は不可避に見えた。
そのとき、マスター・ヨーダが率いる共和政派の大軍がやって来て、追い詰められたジェダイたちを援護し、敵の包囲網を打ち砕いていった。この軍の兵員たちはクローンだった。マスター・ヨーダは、元老院がパルパティーンの指揮権のもとに創設を認めたクローン軍団を使う立場になっていたのだ。
銀河連邦共和政レジームはもはやいたるところで綻び、秩序は解体し始め、戦乱や反乱、紛争が勃発していた。だから、クローン軍団投入による共和政派の軍事力の補充・拡充は避けられなかったのだ。
援軍にはパルパティーン=シディアスが同行してきていた。やがては共和政とその守護者=ジェダイを滅ぼすことになるであろうクローン軍団が、このときはじめて本格的な戦役に投入されたのだ――シディアスの指揮権力のもとで。
つまり、クローン軍団の戦役投入は、この銀河文明の歴史を画するエピソードだったのだ。その危険性には、さすがのジェダイ評議会やマスター・ヨーダも気がつかなかった。