史上最大の作戦 目次
原題と原作
見どころとテーマ
あらすじ
とてつもなく長い1日
オーヴァーロード作戦
ヒトラーの電撃戦と誤算
戦線の拡大とメディア
長期戦への転換
占領・征服政策の欠如
泡のような膨張とリスクの累積
無策・無謀な国家指導者たち
戦線の膨張
枢軸同盟の成立
伸び切った東部戦線
兵站リスクの膨張
東部戦線の崩壊
ソ連軍の反転攻勢
北アフリカおよび地中海戦線
解放侵攻戦略の策定
イタリア降伏
アンツィオの戦い
連合軍のディレンマ
北西ヨーロッパの戦況
ノルマンディへの道
兵站構築(logisitics)
上陸地点は
ノルマンディ海岸
偶発的要素としての天候
ネプチューン作戦
作戦開始
5つの上陸地点
爆撃・砲撃戦
ドイツ軍の混乱
戦闘シーン
偶然が支配する戦況
戦争の形態の構造転換
全体戦争
ヒトラー=ナチス・ドイツの失敗
ヒトラーの無策・無謀
ゆがんだ情報システム
スーパー兵器の袋小路
突出しすぎた性能は戦線の混乱を呼ぶ
スーパー兵器の末路

■ノルマンディ海岸■

  結局のところ連合軍は、作戦に奇襲的というか急襲的要素を盛り込み、かつ自軍の被害が最小限に抑えられる上陸地点として、ノルマンディを選択しました。
  そして、上陸地点についてのドイツ軍を混乱させるために、ノルウェイ海岸やカレーに上陸すると見せかける偽装作戦行動を起こし、またドイツの情報員たちに偽情報を流してもいました。

  他方、ドイツ軍から見れば、上陸の最有力地はカレー、あるいはそこからルアーヴルのあいだのどこかで、一番ありそうもないのがノルマンディでした。
  この映画では、歴戦の司令官、ロンメルもそう見ています。
  ただ1人、第86軍団長のエーリヒ・マルクス大将だけは、机上の作戦ゲイム( Kriegspiel )としてですが、ノルマンディに上陸すれば、ドイツ軍の防備をどうにか撃破できる可能性を見ていました。

  作戦開始の時期はいつか。
  連合軍は4月末から、上陸作戦のタイミングを測っていました。
  海上からの上陸作戦決行の条件は、潮位(つまり月齢)と気象状況にかかっていました。潮位によって、ノルマンディ海岸の地形や砂浜の大きさはかなり変化するからです。揚陸地点と防御態勢の取り方は、水位と砂浜の地形によって大きく変化するのです。
  6月はじめまでに、気象条件と潮位の折り合いで、すでに2回も延期していました。兵士の士気、上陸装備などの点で、もはや猶予はなかったようです。

■偶発的要素としての天候■

  しかし、この年、6月はじめは荒れ模様の天候がずっと続いていました。
  6月5日夜、連合軍の最高司令部では、翌朝、作戦決行するか延期するかを決める最後の会議がおこなわれました。
  気象予報官の大佐は、寒冷前線が予想よりも速く通過し、未明から早朝にかけて風雨が止む可能性があることを報告しました。そして、将軍たちからは、もはや待てない局面になっているという意見が続出しました。

  一方、先遣隊や急襲部隊の離陸準備時間や船舶の出航時限が迫っていました。
  いずれにせよ、多数の死傷者が出るだろう。しかし、ついにアイゼンハウアーは決行を決断しました。
  犠牲を極力抑えるために、悪天候の合間の一時的な小康状態を利用して作戦を開始しました。

  そして、空軍による大規模な爆撃によるドイツの防衛線の破壊・攪乱による支援、また空挺部隊による海岸後背地への先遣・急襲部隊の派遣。
  これらによって敵の防御を背後から切り崩し、町や村を占領して内陸への侵入路と橋頭堡を確保することにしました。

  一方、ドイツ軍側では6月5〜6日には警戒していましたが、荒れた天候、強い風雨が続いているため、結局、警戒を解いてしまいました。

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