史上最大の作戦 目次
原題と原作
見どころとテーマ
あらすじ
とてつもなく長い1日
オーヴァーロード作戦
ヒトラーの電撃戦と誤算
戦線の拡大とメディア
長期戦への転換
占領・征服政策の欠如
泡のような膨張とリスクの累積
無策・無謀な国家指導者たち
戦線の膨張
枢軸同盟の成立
伸び切った東部戦線
兵站リスクの膨張
東部戦線の崩壊
ソ連軍の反転攻勢
北アフリカおよび地中海戦線
解放侵攻戦略の策定
イタリア降伏
アンツィオの戦い
連合軍のディレンマ
北西ヨーロッパの戦況
ノルマンディへの道
兵站構築(logisitics)
上陸地点は
ノルマンディ海岸
偶発的要素としての天候
ネプチューン作戦
作戦開始
5つの上陸地点
爆撃・砲撃戦
ドイツ軍の混乱
戦闘シーン
偶然が支配する戦況
戦争の形態の構造転換
全体戦争
ヒトラー=ナチス・ドイツの失敗
ヒトラーの無策・無謀
ゆがんだ情報システム
スーパー兵器の袋小路
突出しすぎた性能は戦線の混乱を呼ぶ
スーパー兵器の末路

ネプチューン作戦

  オーヴァーロード作戦は、ノルマンディ海岸に上陸後、コタンタン地方と、ブルターニュを制圧し、ロワール河からセーヌ河までの一帯を解放するのが目標で、およそ90日間の作戦期間を予定していました。
  オーヴァロード作戦のなかでも、その初期局面(緒戦)はネプチューン作戦( Operation Neptune )と呼ばれていました。

  これは、ノルマンディ海岸の主として5箇所の地点に急襲上陸して、ドイツの海浜防衛拠点に打撃を与え、その後の大規模な軍の上陸地点(浜頭堡・橋頭堡)を確保するための一連の軍事活動です。
  この作戦は6月5日深夜に始まり、6月30日に終了したといいます。

■作戦開始■

  連合軍の進撃は前日の深夜から始まりました。
  南イングランド諸港から多数の艦隊と輸送船団が出航しました。この大船団・大艦隊は、合州国海軍ラムゼイ提督の指揮下、6,900隻の艦艇(うち上陸用舟艇4,100)からなっていました。

  そして、空挺部隊を乗せた航空機の編隊が飛び立っていきました。参加した航空機は1万4,000。
  空挺部隊は2つの大グループに分かれていました。1つは、ブリテンの空挺旅団が主力のグライダーを曳航する編隊。もう1つは、合州国空挺旅団が主力の編隊で、パラシュート部隊を乗せた約1,000機の大編隊です。


  ブリテン主力グライダー空挺部隊は、音を立てずに海岸のドイツ軍陣地の背後に着陸して、オルヌ川の橋頭堡の確保を主要目的としていました。
  合州国の第91空挺師団と第82空挺旅団からなるパラトゥルーパーたちは、やはり海岸線の防備の背後を衝き、コタンタン一帯の制圧とサントメール・エリーズの確保が目的です。
  そこには、水深の大きい港湾をもつシェルブールも含まれていました。ここを確保すれば、連合国側は大型艦船の入港と接岸ができるようになり、兵站補給体系の構築にとってきわめて重要な拠点となるはずです。

  パラトゥルーパーに先行した航空機の編隊は、ダミー・パラトゥルーパー(ゴム人形)「ルーパート」の大群を、本当の降下着陸地点から遠く離れたルアーヴル地方に投下しました。
  このダミーは着地すると多数の爆竹が破裂してけたたましい偽の銃撃音を発し、ドイツ軍の注意をノルマンディ海岸から逸らすはたらきをしました。

■5つの上陸地点■

  ノルマンディ海岸の主要な上陸地点( Beach )は5箇所。暗号名というかニックネイムがつけられていました。
  ブリテン陸軍が主力となる3地点は、ソード・ビーチ、ジューノ・ビーチ、ゴールド・ビーチ。合州国陸軍が主力となる2地点は、オマハ・ビーチとユタ・ビーチです。
  あとの方の2箇所は、ドイツ軍の防備の正面に近いので、大変な激戦が予想されました。

  ソード海岸に取り組むのは、第1軍のブリテン第3歩兵師団。
  ジューノ海岸はカナダ第3歩兵師団と第2機甲旅団。
  ゴールド海岸は第30軍ブリテン第50歩兵師団、第8機甲旅団。
  オマハ海岸には第5軍の合州国第1および第29歩兵師団があたり、その近隣のオック岬に海蝕崖には第5レインジャー部隊が挑みます。
  ユタ海岸には第7軍第4および第90歩兵師団、特殊軍務連隊があたりました。
  ドイツ軍は海岸に地雷や舟艇接岸を妨害する障害物を敷設していたので、おそらく最大干潮時に上陸を開始したと思われます。
  だが、それは、海岸段丘や海蝕台の上に設置されたドイツ防衛陣地から、より近い距離から激しい迎撃を受け、しかも逃げ場がないという状況をも意味していました。

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