2014年版ゴジラ 目次
組み換えられたゴジラ神話
パラレルワールドのゴジラ
核超大国アメリカの意識…
核開発競争と「モナーク」
ムートー
原発崩壊
ムートー覚醒
ゴジラ、ハワイに出現
2大怪獣と人類
雌ムートー出現
核弾頭の運搬
サンフランシスコの混乱
ムートー産卵
核弾頭奪回作戦
人類の闘いと怪獣決戦
瓦礫だらけの都市残骸のなかで
ゴジラ神話の新展開へ
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風の谷のナウシカ

核開発競争と「モナーク」

  映画の物語を追う前に、物語の前提となる「この物語の世界」の状況設定について見ておく。

  映像の導入部では、『旧約聖書』「ヨブ記」に登場する大海獣レヴィアタン(リヴァイアサン)と陸生大巨獣ベヘモス(ビヒモス)や中世の竜のカットイメイジが流れたのちに、1950年代以降の海の怪事件――アメリカの弩級戦艦が沈められたり、米ソの原子力潜水艦が潜航中に遭難し行方不明になったり――のテロップが挿入され、そしてビキニ環礁での水爆実験やムルロワ環礁での原爆実験の映像がカットバックとして流れる。
  これは古代から、人類が巨大海獣や火を噴く巨竜を目撃してきたという経緯を示すものらしい。 人びとは世界各地で巨大な背鰭突起の連なりが海面を横切る光景を目撃してきたというのだ。そして、そういう怪事件と核兵器や核エネルギーの開発とが何らかの関係があるということも示している。

  そしてビキニ環礁での核実験については、老朽化した原子力潜水艦をルアーにして背鰭突起のある巨大生物をおびき寄せて水爆を爆発させている様子が描かれる。
  言うまでもなく、鋭い背鰭突起を背中に連ねるその巨大海獣はゴジラだ。


  そして、この世界には第2次世界戦争後、核兵器開発と並行して、全地球的規模で放射線生物学――放射線による生物への影響や突然変異を研究する分野――を調査研究するモナーク Monarch という国際機関が存在する。モナークという語には「王」とか「君主」という意味がある。つまり専制的な権力の担い手というわけだ。
  モナークの研究は、現生の生物だけでなく、古生代からの生物進化にさいして放射線がおよぼした影響についてもおよんでいるらしい。
  この研究機関は、世界各国の政府や軍、核エネルギー機関と結びついて、ときには一般市民には情報を閉ざして秘密研究をしているようだ。
  どうやらこの機関は、アメリカの軍産核複合体を頂点とする軍事組織や核エネルギー機関と特別の提携関係にあるようだ。

  この世界の軍事秩序は、私たちの世界のそれとほぼ同じで、アメリカ軍が世界に覇権を唱えていて、世界各地の海洋をアメリカ海軍の艦隊や空母が遊弋している――という状況もそれとなく、しかし明白に描かれている。

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