その頃、フォードはハワイからアメリカ西海岸に向けて移動する海兵隊大隊とともに大型ジェット輸送機C17に登場していた。部隊は、カリフォーニア州ローンパイン軍用基地に着陸後、部隊は西海岸に向かった。
そこで、ディーゼル貨物列車に積まれた大型核弾頭をサンフランシスコ湾まで輸送する任務についた。フォードはこの任務に参加を申し出たが、断られた。しかし、サンフランシスコまで貨物列車に同乗することは許可された。
この核弾頭はアナログ方式の起爆装置を装着されたもので、ムートーの電磁パルスの影響を受けないように配慮したものだ。
とはいえ、時限装置のクロノメーターが電気式なら、さほど効果はないだろうが。ゼンマイ=はずみ車方式のクロノメーターだということか。
列車が出発して間もなく日没が訪れ、列車は闇のなかを走った。
一方、ムートーは暗闇のせいか、地下に潜ったせいか、所在地が不明になった。列車の護衛部隊は警戒を強めた。 やがて列車は山中の峡谷にさしかかった。その先には、深い谷に架かる鉄橋が控えていた。
部隊は列車を停止させ、渓谷と鉄橋の様子を偵察して安全に通行できるか確認しようとした。 そのとき、ムートーが襲撃をかけてきた。部隊は応戦したが、ムートーに一蹴されほぼ全滅状態になった。鉄橋は破壊され、列車は谷底に落下していった。
翌朝、数機のヘリコプターに分乗した軍のサルヴェイジ・レスキュー部隊がやって来た。気を失っていたフォードも救出され医療兵の治療を受けた。
さいわいムートーは核弾頭を持ち去ることはなかった――それなりに放射線を発していたにもかかわらず、不可解なことだが、たぶん物語の都合上そうなったのだろう。
大型双発ヘリが核弾頭を回収してサンフランシスコまで空輸することになった。
連邦政府ならびにカリフォーニア州政府は、3大怪獣の接近に備えて、全市民に非難を指示した。女性と子どもたちは市外・郊外に移動することになった。フォードの妻エルは医師なので、怪我人の治療に備えて病院にとどまることにし、息子はバスで郊外に避難することになった。
しかし、あらゆる道路は、郊外に避難しようとする自動車で渋滞していた。
ことにサンフランシスコ湾入り口の海峡水道には、ゴジラの港湾内や市街への侵入を阻止するために、多数の艦艇が並び、西方に砲門を向けていた。
上空では戦闘機の編隊が警戒態勢に入っていた。
湾を横断する金門橋には、陸軍のM1戦車隊が待機し、まるまる1車線を塞ぎながら主砲を湾ン入り口に向けた。
避難用のバスは無理やり、橋を渡ろうとしたが、停止した車列や戦車隊に道を塞がれてしまった。
そんな人類側の混乱のなか、ゴジラが湾の入り口に現れた。艦艇が応戦の準備にかかる間もなく、ゴジラは湾の水中深く潜った。そして金門橋の間近で立ち上がった。戦車隊や艦艇の一斉砲撃が始まったが、ゴジラは意に介する風もなく湾内に侵入した。