部隊の兵員たちは地上数百メートルでパラシュートを開いて着地した。何名かは怪獣の闘争に巻き込まれたのか、難しい効果に失敗したのか、死傷して戦列から外れた。
彼らは放射線量測定器によって核弾頭のありかを探った。核弾頭は崩壊した高層ビル群の地下街にあった。そこが、つまり産卵場所だった。
ムートーの夥しい数の卵は、テューブ状の粘膜に包まれて崩れかけた地下街の天井や側壁に産みつけられていた。
フォードは起爆設定の解除を試みたが、度重なる衝撃を受けため、起爆装置は操作不能になっていた。そこで、屈強の隊員たちが2列になって運び出すことにした。
フォードは瓦礫を寄せたり持ち上げたりして、通路を確保した。
彼らはボートがある埠頭に向かった。
最後に地下街に残ったフォードは、卵を燃やしてしまおうとして、地下給油施設の燃料タンクの蓋を外してガソリンを産卵場所一面に流した。
ところが突然、ガソリンは何かの火に触れて爆発的に炎上した。フォードは爆風を受けて吹き飛ばされてしまった。
彼がショックから立ち直ると、卵を燃やされて怒り狂った雌ムートーがやって来て、核弾頭を持ち去った兵員たちを見つけようとしていた。
一方、ゴジラは雄ムートーと死闘を演じていた。ムートーはゴジラよりもかなり小さいのだが、飛翔して空から背後に回って攻撃するムートーに対してゴジラは効果的な打撃を加えられないでいた。
むしろ、ゴジラの方がひどく消耗しているようだった。
ところが、背後に回ろうとしたムートーをゴジラは巧妙に尾を振り回して叩き潰した。ムートーは絶命したらしい。
さて、雌ムートーは核弾頭を担いで走る隊員たちを追いかけた。しかし、ゴジラがムートーの動きを阻んだため、彼らはどうにかボートに核弾頭を搬入できた。
しかし、消耗したゴジラは休眠するように動かなくなった。その隙をついてムートーはボートに近づき、触手で隊員たちをなぎ倒した。
無人のボートにフォードが取りついて、係留ロープを外して、自動操縦装置をセットしてエンジンをかけようとしたが、電磁パルスのせいでエンジンは動かなかった。
そこにムートーが迫ってきた。
ところが、ゴジラがそのムートーを捕まえて、前足で口蓋を圧し広げると青白い熱戦を吹き込んで、ムートーの息の根を止めた。
それは、ゴジラが人類を救ったわけではない。ムートーが再度産卵するために核弾頭を奪うことを阻止したのだった。
ムートーとの闘争に勝ち残ったゴジラだったが、消耗が激しすぎたため倒れ込んで動かなくなってしまった。
ムートーが死んだため電磁パルスが消滅した。フォードが乗ったボートのエンジンが起動した。彼は沖合に向けてボートを発進させた。だが、彼もひどい消耗のために意識を失ってしまった。
しばらくして、救難ヘリが接近してきてフォードを助け上げた。朦朧とする意識のなかでフォードは、沖合に達したボート上で核弾頭が炸裂し、火炎の玉が巨大に膨らむのを見た。