レイルズ&タイズ 目次
かけがえのないパートナー
原題について
見どころ
あらすじ
やり場のない悲しみ
デイヴィ
衝突事故
衝突事故
孤立無援
追いつめられた夫婦
孤児の来訪
かりそめの家族
デイヴィ捜索
事故調査委員会の結論
忍び寄るメーガンの死
自分を責めるデイヴィ
メーガンの最期
トムの決意
ケヴィン・ベイコンの演技の冴え
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クイックシルヴァー
医療サスペンス
コーマ
評  決

孤立無援

  母親が死んで孤児になったディヴィは、児童保護司(ロザンナという若い女性)の手配で里親のもとに預けられた。里親は、肥満した傲岸不遜を絵に描いたような容貌の女性だ。というのも、保護司ロザンナが母親を失ってしまったデイヴィにやさしく接してほしいと頼んだが、この里親は「子どもには厳しいしつけが大切だ」と言い切って、デイヴィの傷心を歯牙にもかけずに、あくまで自分の好みの尺度を押し付けようとした。
  無神経な中年女性の姿が、うまく演じられている。
  ロザンナは、女性の態度に強い不安を覚えたが、とにかく早く里親に預けた方がいいのだと割り切った。
  ところが、この女性はデイヴィと2人だけになると、「私は女の子がほしかったのに」と面と向かって不満をぶつけてきた。そして、デイヴィの部屋着として、女の子用のトレイナースーツを渡した。しかも、デイヴィが少しでも自分の言い分を述べようものなら、「しつけ」だといって、無慈悲な叱責を飛ばした。


  その態度に辟易したデイヴィは、その夜、自分の部屋の窓から抜け出して出奔した。そして、近くの鉄道駅に向かった。だが、遠くにいこうにも金がなかった。で、ベンチで寝込んでいる中学生くらいの少女の財布を失敬しようとしたが、見つかってしまった。
  だが、少女は、デイヴィが里親のもとから逃げ出してきたと知ると、ロスアンジェルスまでの切符代を渡した。デイヴィが「この金は借りたものだから、必ず返す。住所を教えてほしい」と言うと、「義理の妹(里親の娘)に返してやって」と義妹の住所を教えた。
  彼女も里親のもとから逃げ出した口だったのだ。里親制度が発達したアメリカだが、孤児と里親の相性や折り合いが悪い(ミスマッチ)場合も多いらしい様子が、ここで描かれている。州や市の里親助成金を目当てに保護者のいない子どもを引き取る人たちも多いようだ。

  さて、天涯孤独になってしまったデイヴィは、とにかく母親の死を招いた特急列車の運転手の家に行こうと考えていた。デイヴィは逃げ出すときに、母親からプレゼントされた機関車の模型だけを持ち出してきた。鉄道ファンらしい。
  だが、その鉄道が、母親の死の原因になってしまった。だが、デイヴィの目から見て、なぜ列車は急停止しなかったのか、その疑問=非難をぶつける相手をまず探そうというのかもしれない。

  切符を手に入れたデイヴィは、ロス行きの列車に乗り込んだ。彼にとっては、何か「新たな人生への冒険」にでも旅立つような気持ちだったのかもしれない。車中で、「叔父のトムを訪ねたいが住所がわからない」と言って車掌に鉄道会社の同僚であるはずのトムの住所を巧みに聞き出した。
  列車を降りると、デイヴィはトムの家に向かった。

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