スターウォーズ・シリーズ 目次
スターウォーズの宇宙世界観
『スターウォーズ』シリーズ
本考察のねらい
遠い昔、はるか彼方の銀河系で…
ジェダイとシス
比較天体論
因縁の敵対関係
アナキン・スカイウォーカー
アナキンを取り巻く銀河世界
  通商連合の分離反乱
  シスの謀略
  シディアスの独裁
  母の死、そして殺戮
  ジオノーシスでの決戦
共和政崩壊とジェダイの滅亡
ダースベイダーの誕生
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ゴジラ&怪獣映画
風の谷のナウシカ

比較天体論

  閑話休題。
  1つの銀河系の内部で1000にもおよぶ惑星(植民天体を含めて)で知的生命体が進化発生して高度な科学文明を築き上げて、わずか数万年という――宇宙論的に見て――きわめて短い期間のうちに銀河系規模でレジームや経済活動などを共有するということは、宇宙論的に見れば、驚異的な奇跡であろう。
  地球人類から見れば、過去1万年足らずの文明期間のあいだに、別の天体の文明や生命体との接触や交信はないし、まして交易や外交というのは夢のまた夢。
  というよりも、地球の歴史から見ると、1つの惑星で原始生命が誕生してから進化を繰り返して、高度な知的生命体が生まれて文明を生み出すまでには、とてつもなく長い時間が必要だ――何億年以上のタイムオーダーの。
  地球では原始生命が生まれてから36億年ほどの時間がかかっている。そのうち、複雑な器官・組織をもつ生物が出現したのは、カンブリア紀の前後だから、36億年のうち30億年以上の期間は、原始的で単純な生命体の進化の時期だった。
  人類が出現してからは、長めに見積もって500万年。文明が発生してから1万年たらず。そして、遠い未来まで賢明にも人類が生き延びるとして、ほかの恒星系の知的生命体や文明と接触できるように科学技術が発達するのに、あと何万年、いや何億年かかるだろうか。

  いや、何億年、何十億年のスケイルで展開する生物進化の歴史の流れのなかでは、ある恒星系のなかの特定の惑星に長い長い生命進化の過程の後に知的生命体が生まれて文明を築く時代が別の惑星のそれとシンクロするのは、きわめてまれだろう。別のそれとのタイムラグは、数億年から百億年以上までというように、気が遠くなるほどに大きい。
  今この瞬間に、原始生命が生まれて進化の歴史が始まろうとしている惑星もあろうし、今、地球のカンブリア紀に当たるような進化段階にある惑星もあろうし、人類よりもはるかに先を行っていて、宇宙に植民している惑星文明もあるかもしれない。あるいは、長い文明時代が滅亡して、それとともに知的生命体が滅び去ろうとしている段階にある惑星もあるかもしれない。

  銀河系中の恒星系(の惑星)で生命が生まれる確率が1000万分の1で、そのうち知的生命体にまで進化する確率が100分の1として――甘すぎる確率かも?――、銀河系中の恒星系の数が200億個あるとするならば、この銀河系で知的生命体が存在する恒星系はわずかに20個しかない。
  まして、進化のタイミングのズレ(タイムラグ)がないとしてだ。
  数億年の進化のタイムラグがあれば、これらの知的生命体が互いに遭遇し知りあう可能性はほとんどゼロに近いだろう。
  人類を例にとれば、地球への小惑星衝突や、人類自らの環境破壊や戦争(熱核戦争)で自滅する危険性も大きいだろう――いまだに人類は、こうした愚かなリスクを克服する知性を持ちえていないから。また、太陽の活動変化や膨張もいずれ起きるだろう。
  そうなると、文明を備えてから、ほかの天体の地的生命体と出会う確率は、何億分の1にも満たないだろう。ほぼ絶望。
  そして、太陽系のような幸運な恒星系の存在確率の低さよ!

  だいたい私たち太陽と同じくらいの質量の恒星の系で、木星のようなほどよい質量と太陽からの距離をともなう惑星が存在する確率は、おそらく100万分の1にもなるまい。
  木星の存在は、特異な重力分布構造を生み出すことによって、太陽系という恒星系の惑星群が数十億年間以上にわたって安定した秩序で存続することを可能にしてきたのだという。小惑星群が地球などの惑星に衝突する危険性を大幅に減らし、太陽の過大な重力が火星の軌道くらいまでの惑星を飲み込んでしまう恒星膨張の可能性を抑え込んでいるそうだ。
  仮に木星が今よりも10倍くらい質量が大きかったら、やがて核融合反応を始めて、小さな恒星になるだろう。すると、そういう太陽系は連星系になる。2つの恒星が存在して、ハンマー投げのように大きな恒星自体が楕円形に揺れながら公転し合うメカニズムになる。
  そうすると、地球を含めた惑星たちの運動はきわめて不安定で不規則になるうえに、地球や火星などは2つの恒星に焙られる――強い放射能や熱エネルギーを浴びる――ことになる。
  生命の進化にとっては深刻な事態だ。
  しかも、連星系の重力バランスはきわめて脆く、数百万年から数千万年で崩壊し、ほとんどの惑星は恒星に飲み込まれたり、互いに衝突し合って消滅してしまうという。
  つまり、知的生命体まで生物が進化する時間的余裕がない。

  太陽くらいの質量の恒星の系でも、木星のような「ほどよい」緩衝惑星が生まれる確率は、きわめて低い。
  巨星を中心とする恒星系も寿命がかなり短いというし、小さな恒星系では不安定で、惑星の環境はすこぶる悪い。
  ということになれば、1つの銀河系に20個という知的生命体存在の確率は、ずっとずっと小さくなる。
  ……と考えてくると、200億個くらいの恒星からなる1つの銀河系で数百もの知的生命体からなる大文明レジームというものが出現する可能性は、ほとんどない。やはり、ファンタジーだということだ。
  話を戻そう。やはり、『スターウォーズ』はゴジラと同じようにファンタジーの世界の物語だ。

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