傭兵とアフリカ人援軍からなる「反乱軍」は、闇にまぎれて港湾を防衛するザンガロ政府軍を攻撃し、瞬く間に殲滅していった。続いて、大統領府への進撃に移った。
ところが、大統領府は政府軍の厳重な警備と防衛網で守られていた。
傭兵たちは、重機関銃やリヴォルヴァー式小型グレネイドランチャーで防壁や監視塔を破壊して、邸内への突破口を拓いた。短時間のうちに、キンバ子飼いの防衛隊は狩り立てられ、追い詰められていった。
シャノンは、大統領官邸に突入した。そして、大統領執務室の扉を開けると、キンバは脇目も振らずに札束を抱え込もうとしていた。
制作予算に限りがあったせいか、状況描写が単純化されていて、ここでは、ステレオタイプの独裁者の醜い末路が描かれている。
シャノンは容赦なくキンバを射殺した。
ところで、時間は少しさかのぼる。
「反乱軍」が上陸作戦を開始しようとした頃、ザンガロ国外の安全なエアフィールドから1機のジェットヘリが飛び立った。ヘリをチャーターしたのは、くだんの投資コンサルタントで、キンバなきあと大統領の椅子に据えようとしている大佐をともなっていた。ヘリはひたすらザンガロ大統領官邸に向かって飛び続けた。
そして、シャノンたちが大統領府を制圧したのち、多数の兵士たちの死体が転がる官邸の前庭に着陸した。
コンサルタントは大佐を引き連れて、大統領執務室に急いだ。
執務室にはシャノンが待っていた。床にはキンバの死体が横たわっていた。それを避けるように歩いて、コンサルタントと大佐は、暗闇に沈んでいる大統領の椅子に近づいた。
「さあ、新しい大統領の就任だ」とコンサルタントは、満足そうに大佐に促した。
「お前らの思いどおりにさせるか」
シャノンは叫んだ。
その瞬間、シャノンの銃が火を噴いた。銃弾に貫かれた大佐=「新大統領」は即死した。コンサルタントは驚愕して、シャノンを睨んだ。
シャノンは、大統領の椅子の方に掌を向けて、紹介するように言った。
「これが、新大統領だ」
椅子には、小柄でやせ細った男が座っていた。オコーヤ医師だった。
シャノンは、ザンガロ軍に捕らわれたとき、監獄でオコーヤと出会った。酷い拷問で傷だらけになったシャノンを、薬も医療器具もない檻のなかではあったが、オコーヤが診察し手当てしたのだった。