デイ・アフター・トモロー 目次
気候変動の果てに
原題とあらすじ
見どころ
急激な温暖化
スーパーストーム
大嵐は大寒冷化の前兆
壊れゆく現代文明
襲い来る大寒波、…
バルモーラルの悲劇
氷雪に埋もれたニュウヨーク
合衆国、そして現代文明の滅亡
サヴァイヴァルの旅
文明構造の転換
温暖化の主要原因は何か
核心的論題
熱交換システムとしての地球…
熱交換で地表を冷やす
気候変動と人類文明
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炎のランナー
医療サスペンス
コーマ
評  決

■核心的論題■

  私は、二酸化炭素には「温暖化効果がない」と言っているのではない。
  人類の現代文明が放出する二酸化炭素は、気候変動の要因になっている。
  だが問題は、はたして二酸化炭素そのものが温暖化の最大=最悪の原因としてい位置づけられるのか、ということだ。
  愚かしいことに、二酸化炭素を槍玉に挙げながら、「では二酸化炭素を生み出す原因は何か」という問題については、当然のこととして、素通りになっていることだ。

  化石燃料の燃焼によって人類は文明活動に必要なエネルギー源をつくり出している。このことの意味と結果については、あまりに粗雑な分析・言及しかなされていないことが最大の問題なのだ。
  化石燃料の燃焼という人類営為は、いったいどういうことか。
  これまた当たり前だが、熱エネルギーを生み出すためである。二酸化炭素を生み出すためではない。人類は、エネルギー源として化石燃料燃焼を途方もない規模で拡大再生産してきたのだ。
  そうなのだ。二酸化炭素そのものではなく、熱エネルギーの生産と放散こそが、最大の問題なのだ。地表と大気中への熱エネルギーの放散は、直接に温暖化効果を引き起こす。この効果がどこまで長引くか、効果の蓄積という派生的な問題で二酸化炭素がはたらくにすぎないのである。

  熱の放出自体の害悪については、あまりにも当たり前のせいか、メディアはことさらに取り上げない。なぜだろう。実に不可思議である。
  人類が熱生産をこととする生物種であることやめない限り、地表の圧倒的部分を人類が支配する限り、温暖化への傾向は止まらない。解決策は、残念だが、人類の――より正確には人類の現代文明――の滅亡しかない。地球環境と生態系にとっては、現行の文明装置を営む人類の滅亡こそが望ましいということだ。

  人類は、今のテクノロジーでは、自分たちが利用する動力エネルギーを取りだすために、産業活動において実際に直接的に物体を動かす動力エネルギー量の3倍ないし4倍の熱量をつくり出さなければならない。きわめて未熟なテクノロジーである。というよりも、熱という現象を媒介としてエネルギーを取り出す限り、そうなってしまうのである。
  人類がたとえば発電のために熱エネルギーを利用すると、電動モーターを動かすために必要な電力の3ないし4倍の熱エネルギーを生み出してしまうという現実が問題なのだ。つまり、人類が化石燃料だろうが核燃料だろうが、とにかく生み出した熱エネルギーのうち何と7割以上が使われず、熱以外の形態のエネルギーに転換されずに熱のまま放出されてしまうという現実こそ問題なのだ。
  熱は地表や大気中に拡散放散してしまうからいい、では済まないはずだ。

  熱という媒介過程なしにエネルギーを取り出すテクノロジーを生み出すしかない。
  熱の放散は、エントロピーをもたらす。つまりは、環境の秩序やその安定性、そして熱を取り囲む物質の化学組成を変化・劣化させてしまい、結果的に、環境構造物質を根こそぎ破壊する結果をもたらすのだ。もちろん、動力生産手段=機械の材質をも劣化させ、破壊することになる。
  というのも、熱という現象は、材質を構成する素粒子や原子、分子に、特に著しく激しい震動・ランダム運動を与え加速させるからだ。材質の組成構造や結晶構造などを、熱が介在しない自然劣化よりも何倍も速く破壊してしまうのだ。
  とはいえ、それにしても、人類が放出する熱エネルギーの累積が、地球規模での気候変動のダイナミズムとどのようにかかわるのかについては、大部分が未解明である。


■現代文明のアポリア■
  現代文明は、エネルギーの創出や機械動力への転換にさいして熱を生み出し、外界に排出せずにはおかないという仕組みをもっている。太陽光や風力、潮汐、波などによる発電量の比率はまだ圧倒的に小さい。もっとも、太陽光発電や回転・往復運動による発電は、エネルギー形態の転換のための仕組みがいち早く劣化するのが避けられないぼだが。

  温暖化=気候変動が人類文明によってもたらされ、あるいは加速されているとすれば、その最大の原因は、この熱の創出・排出という現代文明のエネルギー・システムにある。二酸化炭素の蓄熱・保熱効果は第2次的な要因ではなかろうか。
  自動車などの交通手段のほとんどは内燃機関エンジンで動力を生み出している。電気列車あるいは電動自動車は一見クリーンだが、大量の電力を消費するのであって、その電気エネルギーは発電所が生み出す。そして、発電所の圧倒的多数は火力である。あらゆる電動システムも、火力発電と同罪なのだ。
  原子力発電所は化石燃料を使用しないが、火力発電以上に圧倒的に大きな熱を生み出し、排出するので、むしろ地表環境の直接的な加熱・温暖化効果はこの方が圧倒的に大きい。
  だから、温暖化の対策として原子力発電を推進しようなどというのは、核汚染物質の生産と蓄積という問題をも含めて、狂気の沙汰である。人類はさらに破滅的な大きな一歩を踏み出そうとしているわけだ。
  自ら滅びに向かっているという見方ができるだろう。それで滅びるのが人類だけなら、まだしも……。

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