デイ・アフター・トモロー 目次
気候変動の果てに
原題とあらすじ
見どころ
急激な温暖化
スーパーストーム
大嵐は大寒冷化の前兆
壊れゆく現代文明
襲い来る大寒波、…
バルモーラルの悲劇
氷雪に埋もれたニュウヨーク
合衆国、そして現代文明の滅亡
サヴァイヴァルの旅
文明構造の転換
温暖化の主要原因は何か
核心的論題
熱交換システムとしての地球…
熱交換で地表を冷やす
気候変動と人類文明
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評  決

気候変動の果てに 現代文明が滅びる日

  現在の気候変動については論争は尽きない。
  「温暖化」は果たして本当に進んでいるのか。温暖化の最大の原因は何か。温暖化は人類文明――化石燃料を消費する経済産業活動――が主要な原因なのか。それとも、現代文明は副次的原因にすぎないのか。最大の原因は二酸化炭素による蓄熱効果なのか、それとも現代文明が排出する膨大な熱量なのか。
  そして、現在の気候変動の行きつく先はどこなのか。この作品(2004年公開)は、その疑問に対する1つの仮説を提示している。
  ところで、この映画で描かれるような「全地球凍結 the Ice Ball / the Ice Globe 」という事態は、太古からこれまでに何度も起きた現象だという。

原題とあらすじ

  原題は The Day After Tomorrow で、通常一般的には「明後日あさって」という意味。だが、内容から意訳すると、明日の次の日ということで「差し迫った未来の日」「かなり近い未来」ということになろうか。トゥマロウとは、本来「次の夜明け」という意味。で、今現在に直続するきわめて近い未来という意味で、「その翌日」ということは、「すぐそこまで迫っている未来の出来事」というほどの意味になるだろう。

  物語のあらましとしては、こうだ。
  気候の温暖化によって全地球の海洋潮流の動きが大変動し、その結果、急激な寒冷化が始まった。北極圏からやって来た超大寒波がもたらした大嵐と降雪。氷雪はまたたくまに北半球を覆い尽くした。
  ニュウヨークは60メートル以上の氷床の下に沈んでしまった。氷雪原の上に出ているのは自由の女神のトーチと額の冠だけだった。そのトーチも凍結していた。だが、ニュウヨークに取り残されたサムたちは氷雪の下で何とか生き延びていた。
  サムの父ジャックは息子たちの救助に向かったものの、行く手には絶望的状況が待っていた。

見どころ

  現代文明が引き起こした温暖化=気候変動は、大海洋の深層潮流の大規模な変動を引き起こしてしまった。その結果、未曾有の規模のハリケインののち、今までの温暖化とは正反対の寒冷化が急激に始まった。
  地表の気象は「 the ice-age :氷雪期・氷河期」に向かって雪崩落ちていく。
  北半球の「先進諸国」を中軸として構築されてきた現代文明のほとんどは、地表に蓄積した巨大な熱エネルギーによってもたらされた大津波にのまれたのち、持続的な降雪と低温化によって分厚い氷雪の下に埋もれ、死滅していく。
  この物語の時間の進度は、過去の氷雪期への移行速度を数万倍ないしそれ以上にしてあるという。数千年以上もかけて起きる変動現象が、わずか1、2週間のあいだに進展する。
  つまり、人類は、変動のあまりの速さに対応する術を知りえない。物語は北アメリカにほぼ限定されて描かれるが、全地球で同じ事態が生じたのだ。
  「荒唐無稽」な筋立てではあるが、冒険や人間ドラマの奥に設定された現代文明への批判的視点は、じつに説得力がある。

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