ボーン・アイデンティティ 目次
CIAの暴走
原題と原作について
あらすじ
長く複雑な物語シリーズ
ボーンとは何者なのか
テロリスト・ジャッカル
虚構の人物
漂 着 者
手がかりへの細い糸
ツューリヒで
逃亡、そして潜伏
パリでの攻防
トレッドストーン
ボーンの反撃準備
トレッドストーンの崩壊
ニューヨークでの対決
事 後 談
謀略と暴力のアリーナ 国際政治
ポスト冷戦の時代
理想なき現実の時代

ブログ 知のさまよいびと

あらすじ

  嵐の夜、ある若い男が地中海沿岸の村の砂浜に打ち上げられた。その男は村人によって医者のもとに運び込まれ、手術の結果、命を取りとめた。だが、自分の名前も含めて過去の記憶をすっかり失っていた。
  ところが、男が携帯していた身分証の名前「ジェイスン・ボーン」に関して問い合わせた途端、暗殺者がやって来た。何とか生き延びた男は、自分が何者だったのかを知るために、ヨーロッパの主要諸都市を訪ねて回ることにした。
  すると、いたるところで彼をねらう暗殺者たちに襲われることになった。しかも、ボーンはCIAからもねらわれていた。彼は、たまたま知り合った若い女性経済学者マリーとともに、自分の過去を探る「逃避行」の旅に出た。

  やがて、ボーンの正体はウェブというアメリカの諜報員で、ジェイスン・ボーンという虚構の暗殺者に扮してジャッカルという暗殺者を探索・排除する任務についていることが判明した。ジャッカルとは、カルロスという名の暗殺者のコードネイムで、カルロスは国際的な暗殺組織を動かし、CIAにも浸透していた。
  ボーンはマリーとともにパリに行き、ふたたびカルロスの手先の襲撃者たちと対決する。
  一方、ニューヨークでは、ボーンに扮したウェブの今回の任務を支援する組織「トレッドストーン」のメンバーが緊急に集まった。ボーン=ウェブをめぐる事態が混乱し深刻な局面になったからだ。だが、メンバーにはカルロスと結託した裏切り者がいて、ボーン=ウェブの抹殺を謀っていた。ボーンは二重、三重の謀略と罠に包囲されてしまった。

長く複雑な物語シリーズ

  もとより、ラドラム小説の映画化作品ということであれば、88年版の方が好ましい。映像作品そのものとしての評価は別として。

ボーンとは何者なのか

  この映画作品を理解するためには、作品のなかで、CIAが仕立て上げた虚構の人物にして、かつまた実在の主人公、ジェイスン・ボーンとは何者なのかを、ざっと説明しておかなければならない。
  とはいえ、なにしろ20年以上前に読んだ小説なので、私の記憶もかなり風化している。ごく大雑把にしか語れない。
  そのさい、1970年代末という時代、歴史状況を想起してほしい。まだソ連レジームは内部に腐食と動揺をはらみつつも「健在」で、アメリカは冷戦戦略を展開していた。ただし、ソ連側にはレジーム内部の危機もあって「デタント」、つまり東西のレジームどうしの歩み寄りと妥協が顕著になった時期でもあった。
  さて、なにゆえにジェイムズ・ボーンなる人物が、CIAによって、国際的なパウワーゲイムの舞台に登壇させられなければならなかったのか?
  それは、ジャッカル=カルロスというスーパーA級の暗殺専門テロリストへの対抗のためだった。

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