訴  訟クラスアクション 目次
大企業 vs 市民、・・・
原題について
見どころ
あらすじ
クラスアクション
不法行為責任の追及
営利企業としての法律事務所
自動車事故
父 と 娘
法廷でも敵味方に
板ばさみの苦悩
裁判をめぐる力関係と駆け引き
エステルの死
証人つぶし
マギーの戦いのスタイル
パヴェル博士の試験
隠蔽された報告書
人生の岐路
タッカーの闘い
父娘の絆、そして法律家どうしとして
父親譲りの反骨精神
悪役に徹する?
タッカーとマギーの計略
決 定 打
決   着
法廷闘争もの映画作品
評   決

裁判をめぐる力関係と駆け引き

  クラスアクションは、だいたい社会的な問題をめぐる権力闘争という面をもっている。企業・団体と被害者や住民との争いでは、連邦政府や地方政府の政策の変更や改革を求める運動とも連動していることもある。
  大企業と一般市民とでは、明らかに訴訟に投入できる資源や人材に大きな較差がある。優劣は歴然としている。しかし、財政的・組織的に優越する側がいつも勝つかというと、そうでもない。とくに陪審制では。陪審員の意識や心象によって判断は左右される。
  そして、法廷外の市民運動やマスメディアの関与、そして「世論」などが影響することもある。
  また、アメリカでは法律家の数が多いから、有能でも仕事にあぶれた弁護士も数多い。そこそこ仕事があっても、もっと稼ぎを増やしたい、法曹界で有名になりたいと望む弁護士もいる。彼らは、冒険を試みる。世間の耳目を集める事件を担当して、一躍注目を浴びるような法廷闘争を展開したり、大企業から巨額の示談金や賠償金をふんだくり、高額の成功報酬を手に入れようとしたりとか、そういうことを狙ってくることもあるということだ。

  いくら有力な法律事務所を抱えていても、ユーザーや被害者が次から次へと山猫の襲撃のように頻繁に訴訟を提起してくると、対応しきれない。
  もちろん、タッカーのように純然たる正義感が推進力となることもある。


  いずれにせよ、うまくマスメディアの関心を引きつければ、彼らが報道によって世論をかき立ててくれることもある。法曹界も注目する。
  そうなれば、大企業ほど自分たちのイメイジの悪化を恐れて、和解調停に舵を切って高額での示談に応じてくるのかもしれない。
  あるいは訴訟では敗北したとしても、連邦や地方の政府や議会もまた政策を変更したり、新たな立法に動くかもしれない。

エステルの死

  さて、話を戻そう。
  タッカーとマギーが法廷で敵味方となって顔合わせをした、その日、エステルは心配でタッカーについてきた。呼び審問からの帰り際、心労の重なったエステルは倒れてしまった。救急搬送されたが、病院で死亡してしまった。
  母と口論したまま別れてしまったことを、マギーは深く後悔した。エステルは、父と娘との対立に深く苦悩していたのだから。
  しかし、マギーはすでに敷かれたレイルの上を走り続けるしかなかった。

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