ハリウッド版ゴジラ 目次
核兵器と巨大怪獣
見どころ
あらすじ
フランスの核実験の歴史
ポリネシアでのゴジラの誕生
パナマの怪事件生
ニュウヨーク上陸
ゴジラとの戦い
運河に消えた怪獣
「捨てる神あれば…」
ゴジラとの死闘
生き延びた卵と幼獣
ゴジラの起原をめぐって
ハリウッド版ゴジラの起原
身体姿勢と歩行様式…
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風の谷のナウシカ

ゴジラとの死闘

  燃え盛るMSGの建物を安堵の思いで眺めていたロシュとニックとオードリーとヴィクター。建物のなかにいた幼獣たちは全滅した。
  ところが、そのとき廃墟と化していたビル群の一角が吹き飛んで、巨大な爬虫類の頭部が出現した。あの巨大怪獣ゴジラだった。生きていたのだ。身を潜めて人間の攻撃を避けていたのだ。
  だが、せっかく孵化した幼獣たちが殺されてしまったので、怒りに駆られて地上にふたたび姿を現したのだ。もちろん、MSGから逃げ出してきた憎い人間どもに復讐するために。いや、産卵の脅威を取り除いて、ふたたび産卵するためかもしれない。
  ゴジラはニックたちに迫ってきた。
  襲いかかる怪獣から逃げるために、ニックたちは近くの通りに乗り捨てられていたタクシー(イエロウキャブ)に乗り込んで逃走した。しかし、傷害物だらけの道路を走るイエロウキャブの速度はせいぜい時速50q。それに対して、道路の邪魔物を蹴散らして走るゴジラはもっと速い。すぐに追いつかれた。
  ハンドルを握るロシュは、ジグザグ走行、交差点ごとに左折右折、さらにはUターンを繰り返して、かろうじて踏み潰されるのを防いだ。逃走の途中で、軍の車両部隊とすれ違った。が、プレデターのゴジラは自分の獲物イエロウキャブだけを見つめて追いかける。
  ロシュは追いすがるゴジラの攻撃から何とか逃れようとして、イエロウキャブを建設途中の地下トンネルに乗り入れた。このトンネルは、地上の道路の渋滞を避けるためにニュウヨーク市の企画で建設しているものだ。だが、工事は始まったばかりで、数十メートルで行き止まりになった。
  ゴジラは頭を入れたり、足で踏みつけたりして、トンネルを破壊し始めた。まさに「お先真っ暗だ」。この状況がトンネルのなかとはシャレがきつい。
  日本版ゴジラ映画では、マリオンや都庁舎ビルなど、そのときどきの新設の高層ビル群をゴジラに破壊させてきたが、高層ビルが所狭しとひしめくニュウヨークを舞台にしたハリウッド版では、天空に伸びる高層ビルではなく地下トンネルを破壊させた。これも日本版へのアイロニーを込めたオマージュか。


■ブルックリン橋の死闘■
  ニックはついに最後の決戦の覚悟を決めた。
  戦闘機部隊を呼び戻してゴジラを仕留めよう。そのためには、ゴジラを遮蔽物のない空間に誘導する必要がある。そして、あのすばしこい動きを封じなければならない。となると、巨大な吊り橋に誘い込む必要がある。
  オードリーに尋ねると、ブルックリン・ブリッジが近くにあるという。
  ブルックリン橋は、市庁舎から東に向かう大通りがマンハッタン島からロングアイランド島に抜けるために渡る橋だ。遠目にはクラッシイで美しい吊り橋だ。

  ロシュは傷だらけのイエロウキャブを駆って、ゴジラの攻撃をかわしながらブルックリン橋に向かった。一度は、ゴジラの口のなかに捕えられてしまい、車はボコボコになり、もぎ取られそうになった屋根も飛び散ってしまった。が、どうにか、ブルックリン橋にたどり着いた。
  イエロウキャブはNY市庁舎の前を左折してウォール街の横を抜けて、橋梁に走り込んだ。
  だが、ゴジラは執拗に追いすがる。とはいえ、橋を吊っているワイヤー支柱を兼ねた関門がゴジラの進路を邪魔する。ゴジラは関門柱をぶち壊し、あるいは乗り越えて、車を追いかけた。

  橋の中程を過ぎた頃合い、ジェット編隊がようやく橋に接近した。ゴジラは関門支柱をくぐり損ね、しかも吊りワイヤーが身体に絡まって立ち往生していた。そのため、戦闘機は容易にゴジラ=標的をロックオンしてミサイルを撃ち込むことができた。
  徹甲弾頭ミサイル――貫通弾とも呼ぶ弾頭で、2メートルの厚みのコンクリート壁あるいは50cmの鋼鉄装甲を貫通する破壊力を備えている――なので、外側で爆発せずにゴジラの体内深く貫通して炸裂し体内組織を破壊した。
  だが、ゴジラは倒れなかった。まだイエロウキャブを追いかける。
  キャブはかろうじて、橋を渡り切った。
  ゴジラも橋を渡り切ろうとしていた。そこに第2波のミサイル攻撃。ついにゴジラは倒れてしまった。そして、ロングアイランドを目前にしながら息を引き取った。
  ロングアイランドは避難対象地区になっていなかったから、ゴジラが上陸して暴れたら大変な事態になるところだった。
  だが、アメリカ軍の徹甲弾頭ミサイルの先端部には多くの場合劣化ウランを使用しているので、汚染除去などの後始末が大変だ。

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