クライシス・オブ・アメリカ 目次
アメリカ国家乗っ取りの謀略
原題と原作について
見どころ
あらすじ
湾岸戦争症候群
1991年、クウェイト戦線
苦悩する復員兵士たち
覆された副大統領候補
植物園での遭遇
調査に乗り出したベン
帰還兵の悲惨
レイモンドとの対決
ユージェネー・ロウジー
埋め込まれた素子
選挙本部で
マンチュリアンの謀略
マンチュリアン・コネクション
遠大な謀略と人格改造
殺戮マシーン
レイモンドの企図
戦慄すべき精神改造実験
湾岸戦争とイラク戦争の最前線では
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法廷サスペンス
評  決

帰還兵の悲惨

  湾岸戦争から帰還した兵士たちの多くは、深刻な心的障害や精神的ストレスを抱えていて、不眠症や自律神経失調になったという。社会復帰や職場復帰に失敗し、自殺したりする者も続出した。
  イラク戦争からの帰還者はもっと悲惨な状況にあるという。
  いずれの復員兵士にも癌(白血病を含む)や甲状腺異常の発生率がきわめて高いという。そのもっとも主要な原因は、劣化ウラン弾だといわれている。
  劣化ウラニウムは、砲弾の先端の装甲に配合されている。劣化ウランの配合によって、徹甲性能、戦車の装甲とかトーチカのコンクリート壁を貫通破壊する性能が飛躍的に高まるからだ。   だが、砲弾の爆発後、劣化ウラニウムの破片が飛散する。


  ペンタゴンの公式発表では、「劣化ウランはそれほど深刻な害はない」とされているが、多くの医学者は、劣化ウラニウムそのものの重金属としての強毒性とともに、放射能被爆の危険がきわめて高いと指摘している。
  アメリカ軍の兵士たちは、まさに中東の戦場で、ほかの有毒物はもちろんだが、この劣化ウランが飛び散っている戦場や都市、砂漠で作戦行動を展開した。非常に大きな量(濃度)の劣化ウラン被爆を体験している。
  もちろん、アメリカ政府は、その有害性を否定している兵器材質の残留物質による病理の因果関係を否定しているから、劣化ウランによるものと見られる疾病・症状については、一切公式の補償や救済を拒否している。
  「愛国心」や「勇気」を鼓舞しておいて、その結果、兵士たちに生じた悲惨な現実には目をつぶる。残念ながら、これが「アメリカの民主主義」の1側面であり、「対テロ戦争」の実態だ。

  この映画は、こうした現実を暗にほのめかし、批判の視点を誘導している。
  数日後、アル・メルヴィンは運河で溺死している状態で発見された。惑乱の結果か、それとも自殺だったのか。

レイモンドとの対決

  さて、ベネット・マルコはニューヨークに出かけた。2つの目的があった。
  1つは、脳科学者のデルプ博士に会うこと。博士は、以前、ベンによってアルバニアから救出されたのだが、旧東ドイツ政府の命令で、人間の「脳の改造」「洗脳」の医療技術の開発に携わっていた。ベネットの部隊の行動によって、東欧を脱出してアメリカに亡命できたのだという。ベンは、今回の問題(小隊のメンバー全員の記憶が改造されたらしい事件)について相談しようとしていた。
  2つ目の目的は、レイモンドに会って直接、クウェイトでのあのできごとについて質問することだった。

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