華氏451 目次
本が燃える日
原題について
時代背景と原作者の問題意識
ファーレンハイト
モンターグ
クラリス
日常性と秩序への疑問と批判
「本とともに死す」
迷うモンターグ
反   逆
「本の人びと」
映像作品としての特徴
原作の物語世界と映画
「核の冬」について
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評  決

ファーレンハイト

  「ファーレンハイト」とは、温度についての古い思想、古い計測基準にもとづく温度表示系だ。現代世界の標準では、温度は通常はセルシウス系計測基準を用いている。だが、アメリカではいまだにかなりの程度、ファーレンハイト系基準を使用している。
  日本語では、ファーレンハイト系温度表示は「華氏」、セルシウス系は「摂氏」と表記している。国際化と世界基準の時代にこの表記には大きな問題があるのだが、今さらどうしようもないのだろう。日本は科学知識では、いまだに世界の辺境、片田舎でしかない。
  ファーレンハイトもセルシウスもともに、温度(熱力学)に関する物理的研究をおこなった科学者の名前である。
  セルシウスは、標準状態で水が液体から個体に変化(凍結)する基準温度を0°、そして1気圧で水が液体から個体に変化(沸騰)する基準温度を100°として、温度の変化の尺度を設定した。そして、その温度帯を100等分した温度の差異を1℃とし、1グラムの水を1℃上昇させる熱量を1カロリーと設定した。


  とはいえ、現代の化学や物理学、天文学では、セルシウスの熱量思想を基礎としながら、絶対温度(ケルヴィン系計測基準)を使用し、絶対零度(0°K)は−273℃としている。これは、熱は物質――分子や原子――の運動によって発生するが、物質の運動がゼロになったときに温度の絶対的な下限=0度の状態が生じると見るのだ。物質が熱力学的エネルギーをもたない状態が「絶対零度」となる。
  この映画の題名「ファーレンハイト451」は、紙が燃え出す温度を意味する。つまり、情報や知識の媒体としての書籍が燃え出す温度だ。華氏451度は、およそ摂氏233度にあたる。

  華氏温度と摂氏温度との関係は、およそ次の式で示される。
  華氏温度=1.8×摂氏温度+32(°)  摂氏温度=(華氏温度−32)×5/9(°)

  では、人物設定や状況設定を追いながら、物語の展開を見ていこう。

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