華氏451 目次
本が燃える日
原題について
時代背景と原作者の問題意識
ファーレンハイト
モンターグ
クラリス
日常性と秩序への疑問と批判
「本とともに死す」
迷うモンターグ
反   逆
「本の人びと」
映像作品としての特徴
原作の物語世界と映画
「核の冬」について
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コーマ
評  決

クラリス

  ある日、モンターグは通勤モノレイルのなかで若い女性と知り合った。彼女はモンターグの家のすぐ近所に住んでいた。モンターグは民衆を厳格に監視するファイアーマンという仕事についていたため、概して人びとには敬遠されていた。ところが、彼女は自分からモンターグに話しかけてきた。
  クラリスは、モンターグの妻リンダと瓜二つの顔立ちだが、髪型はショートヘアだった(リンダは長い髪形)。
  小学校の教員になりたいということで、今教員のインターン(見習い)をしている。ところが、政府の検査官との面接試験でうまく答えられなかったので、正式な採用になるか心配だという。
  モンターグはクラリスと同じ駅で降りて住宅地までいっしょに歩いた。
  クラリスは、まだ防火・耐火設計になっていない古い瀟洒な家に住んでいた。伯父と暮らしているという。


  モンターグは、それからも通勤モノレイルでたびたびクラリスと出会い、話をするようになった。
  モンターグはファイアーマンという職業についているが、温和で知的な男だった。ことさら出世願望とか権力志向というわけでもなかった。
  クラリスは、そんなモンターグになぜファイアーマンなんて仕事に就いたのか尋ねた。モンターグとしては、特別な理由があったわけではなかった。なりゆきだっだ。
  やがて、クラリスは読書が好きだということを打ち明け、モンターグに本に興味はないかと聞いた。そのとき、モンターグは書籍は禁止されている非合法なものだから、いままでは読みたいとは思ったことがないと答えた。
  だが、ごく少数派の人びとがなぜ、これほど厳しい監視や禁圧・弾圧を受けながら、密かに書籍を保有し貸し借りして読みたがるのかについて、深い疑問を抱くようになった。いや、以前から疑問だったのだが、日常的な意識に上るようになったのだ。

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