華氏451 目次
本が燃える日
原題について
時代背景と原作者の問題意識
ファーレンハイト
モンターグ
クラリス
日常性と秩序への疑問と批判
「本とともに死す」
迷うモンターグ
反   逆
「本の人びと」
映像作品としての特徴
原作の物語世界と映画
「核の冬」について
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炎のランナー
医療サスペンス
コーマ
評  決

反   逆

  ある夜半、クラリスが伯父と住む家に警官隊が押しかけた。書籍の保有隠匿が発覚したのだ。伯父はドアを開ける前に、クラリスに家から逃げるように手配したので、彼女だけはどうにか逃れることができた。
  翌朝、モンターグが駅に向かう途中、クラリスの家が封鎖され、無人になっているのに気がついた。近所の主婦に尋ねると、昨夜、書籍の保有が当局の知るところとなって強制捜査がおこなわれて、逮捕者が出たらしいということだった。
  モンターグはファイアーオフィスに到着すると、隊長の部屋に入り込んで、昨夜書籍の保有の罪でで拘束された人物たちの記録(警察から焼却業務のために書類が回されてくる)を探した。だが、その書類にはクラリス逮捕の記録はなかった。

  帰り道、クラリスのことを心配しながら家路に着くと、彼女が現れた。伯父が家に残した読書仲間のリストを見つけて破棄しなければならないからだった。そのリストが当局の手に落ちれば、読書仲間が芋づる式に捕縛されてしまうからだった。
  2人は秘密の出入り口から家のなかに忍び込み、書類を見つけ出して燃やした。
  そのあと、クラリスに今後の身の処し方を尋ねると、この都市から遠く離れた農村地帯にまで逃亡するつもりだという。そこに、書籍の内容を記憶して人類の知的遺産を保存し続けようとする人びとの組織(「本の人びと」という結社)があるという。


  クラリスは、知的なモンターグを説得してファイアーマンの職務から引き離し、「本の人びと」の仲間に加えようとして、彼に近づいたのだという。
  危険なリストを処分できたので、もうこの都市にとどまる必要がない。そこで、モンターグもいっしょに逃走してほしい、とクラリスは求めた。だが、モンターグは、「まだやることがある」と言って、別れた。
  彼は、ファイアーマンの組織を撹乱しようと企てていたのだ。隊員たちの住居にこっそり書籍を持ち込んで、当局に通報して逮捕させて、隊を麻痺させようというのだった。だが、もはや、そんなゆとりはなさそうだった。モンターグは、明日、職場に辞職を通告するつもりだった。

  翌日、モンターグが出勤したあと、妻のリンダは手紙を持って出かけた。その手紙には、モンターグが大量の書籍を隠匿しているという告発が記されていた。彼女は当局に夫の犯罪を告発=通報しようとしていた。
  リンダは、通報ポストに手紙を投げ入れると、家とは反対方向に歩き去った。
  その日の午後、モンターグのオフィスは隊員たちに緊急出動の命令を発した。隊員たちは迅速に出動準備を始めた。だが、モンターグは今日限りで辞めるつもりだったので、出動準備はしなかった。
  しかし、隊長は辞意は受理したから、最後の出動の義務を果たせと言って、モンターグをファイアーカーに乗せた。これまでどおり、モンターグは真っ赤なファイアーカーに乗り込んで出発した。

  ところが、向かった先はモンターグの自宅だった。
  隊長は、モンターグに言い放った。
「書籍のありかは、君が一番よく知っている。すみやかに、全部探し出して、そこに集めたまえ」と。
  モンターグは、こんな事態もあろうかと腹を決めていたので、自宅中の本を取り出してきて居間に積み上げていった。そこに、モンターグとはそりの合わない隊員が、火炎放射器を持ち込んできた。隊長はモンターグに「自分で燃やせ」と迫った。

  ところが、モンターグは火炎放射器を受け取ると隊長と仲間に向けて火炎を放った。隊長は火だるまになって焼死してしまった。ほかの隊員たちは逃げ去った。
  モンターグは、反逆者にして殺人犯になってしまった。こうなれば、逃亡するしかない。クラリスに教えてもらった農村地帯まで逃げ延びようと決めた。

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