ザ・シューター/極大射程 目次
NSAの暴走
原題について
見どころ
あらすじ
大統領狙撃事件
ボブ・リー・スワガー
PKOでの「見殺し」
狙撃場所の調査
周到な罠
狙撃のサイエンス
  地表の弾道学
  身体的・精神的条件
包囲網からの脱出
反撃への準備
  ニコラス・メンフィス
  スーパー・ガンマニア
罠の仕かけ合い
真相:軍部の闇の副業
夏の雪原での闘い
  FBI介入への仕かけ
  雪原の狙撃戦
軍産複合体のビジネス
ボブの無実の証明
報復 乱暴な結末だが…
おススメのサイト
異端の挑戦
炎のランナー
諜報機関の物語
ボーン・アイデンティティ
コンドル

FBI介入への仕かけ

  その頃、DCのFBI本部は、ヴァ−ジニア州リンチバーグの山地森林で大規模な戦闘(爆発や銃撃)が発生したらしいという情報をつかんでいた。だが、爆破による破壊や銃撃戦の痕跡(炎上して墜落したヘリの残骸さえあった)とか血痕は明白に残っているのに、死傷者については皆目不明だという。
  闇の「軍事コンサルティング組織」は、傭兵の死体をすぐに回収したようだ。名目上は合衆国内に存在してはならない組織であり、まして傭兵を投入して連邦内で武装闘争を繰り広げるなどはもってのほか。だから、その手の証拠はすべて闇に葬るというわけだ。
  FBIにとっては、フィラデルフィアでの狙撃事件といい、リンチバーグでの戦闘の痕跡といい、気に入らないできごとが連続している。これらの事件の関連性も疑われる。だが、肝心な情報は何もない。なかでも、ニコラス・メンフィス捜査官は査問の直前に失踪したままだ。

  おりしも、ニックの上司=部長が手詰まり状況にいらついているところに、ニックから連絡が入った。モンタナ州からだった。ニックからのメッセイジはこうだった。
  ボブ・リー・スワガーを確保し、ともに行動している。これから、この州の山岳部で、狙撃事件の真相を解明するための情報や関係者(本当の容疑者)を確保する計画だ。ついては、しかるべき時刻までに、ヘリ部隊を組織して救援に駆けつけてほしい、と。
  ニックは、ボブとともにジョンスンとミーチャム議員らを白日の下に引きずり出して、陰謀の証拠とともにFBIによって確保させようと考えていた。

雪原の狙撃戦

  さて、ジョンスン大佐一行が搭乗したヘリが、4000メートルを超える山頂部にやって来た。山頂付近一帯は、まだ大量の氷雪に覆われている。いよいよ交渉=取引の開始か。
  そのとき、雪原の彼方からボブらしい人影が現れて、ヘリに向かって歩き出した。すると、雪原のどこかに潜伏し待機していたジョンスン側の狙撃兵が、アソールトガンを構えて、その人影を狙い撃ちした。起伏が激しい雪原なので、胴体を狙ったらしい。
  銃弾は命中して、人影は倒れ伏した。ジョンスンの罠は成功したかに見えた。

  ところが、その瞬間、ジョンスンが配備した狙撃兵たちは、遠方から飛来した銃弾によって打ち倒された。罠には対抗策=罠が用意されていたのだ。
  そして、倒れたはずの人影が立ち上がって、ジョンスン一行の方に歩いてきた。近づくと、その男はニック・メンフィスだった。   そのとき、別のヘリでミーチャム議員がやって来た。

  交渉=取引がようやく始まった。ニックは、携帯電話機(音声記録)と引き換えにサラの解放を求めた。だが、ジョンスンの用心棒がサラに銃を突きつけて、携帯端末の引渡しを強要した。
  そのとき、遠方で銃声がした。数秒後、サラに銃を突きつけていた男の利き腕と手が、銃とともに吹き飛ばされた。男は苦痛のために雪原に倒れてのた打ち回った。狙撃したのはボブだった。ボブは、ジョンスン側の戦闘能力を破壊したことを確認すると、雪原の彼方に姿を現して近づいてきた。

  そのとき、FBIのヘリ部隊が山頂部に近づいていた。
  形勢はボブとニックの側の圧倒的な優位だった。ところが、ボブは携帯端末に火をつけてメモリーごと燃やしてしまった。ニックは驚いて、ボブを詰問した。
  ボブとすれば、ペンタゴンの闇のコネクションを指し示す証拠を残すと、たとえジョンスンとミーチャムを社会的・政治的に葬り去ることができても、別の人物たちが組織トップに据えられ、この――国家の中枢装置であるペンタゴンのスキャンダルの――証拠を知るものたちを抹殺しようと画策し続けるだろうと考えたのだ。
  エティオピアのPKOからこの方、ボブは国家装置(軍部とCIA)によって、チェスの捨て駒のように利用され、使い捨てられてきた。そのため、ボブは政府や国家装置を根っから疑うようになっていた。正義だの愛国心などという「おためごかし」をチラつかせながら、権力と利権を貪り、一般市民や兵員の命なんかは屁とも思わない。邪魔立てしたり、利用価値がなくなったりすれば、排除=抹殺しにかかる。
  FBIも政府組織だ。いつ、どのように上層部が結託して、権力サークルの特権を擁護しにかかるか知れたものではない。愛国心だの国家の安全保障という用語は、多くの場合、都合の悪い事実から関心を逸らせて権力の椅子に座った連中の権益・利権を守るためのキャッチフレイズでしかない。

  というわけで、ボブはペンタゴンやCIAの闇の商売を暴く証拠は危険すぎると判断して、携帯端末を破壊したようだ。
  サラは、手を撃ち落された用心棒の銃を拾い上げると、恨み重なる用心棒に向けて銃弾を撃ちまくった。男は穴だらけになって即死した。
  FBIの急襲部隊が山頂部の雪原に降り立ち、ボブやニックに武器を放棄するように警告した。そして、銃を捨てて両手を挙げたボブ、そしてニックを拘束した。当然のことながら、ジュンスンとミーチャムにも同行を求めた。こうして、一連の事件はFBIと連邦司法省の管轄下に収まった。

前のページへ | 次のページへ |

総合サイトマップ

ジャンル
映像表現の方法
異端の挑戦
現代アメリカ社会
現代ヨーロッパ社会
ヨーロッパの歴史
アメリカの歴史
戦争史・軍事史
アジア/アフリカ
現代日本社会
日本の歴史と社会
ラテンアメリカ
地球環境と人類文明
芸術と社会
生物史・生命
人生についての省察
世界経済
SF・近未来世界