シン・ゴジラ 目次
政治劇のテーマ…ゴジラ
見どころ
謎の巨大海洋生物の出現
「ものぐさ巨獣」の退散
多摩川の「決戦」
アメリカの動き
ゴジラのエネルギー代謝
恐るべきゴジラの反撃
内閣(政府中枢)の消滅
熱核攻撃まで15日
ヤシオリ作戦
ゴジラ凍結!
政治劇としての印象
ゴジラの形状特徴について
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風の谷のナウシカ
2014年版ゴジラ

内閣(政府中枢)の消滅

  それにしても、ゴジラの身体から放射される熱核光線はレイザーのように指向性や収束性・凝集性が恐ろしく大きい光線だ。ふつうの光源からの放射のように全方向に広がるものではない。拡散することなく、ひとつの方向だけに向けて進む凝集した光線だ。
  つまり、放射口にレイザー用レンズのように、同じような波長帯・周波帯の放射線だけを収斂放射させる――波長をそろえて放射する――器官と機能が備わっているのだ。そういう熱核光線の放射光が胴体のいたるところにあるのだ。
  通常の光のように光源からあらゆる方向に散乱・分散することなく、光の束が収斂・凝集したまま進み、巨大なエネルギーを保ったまた物体に当たるからこそ、強力な破壊力をもつのだ。

  そのレンズ器官は、生物の眼点のように、光学的刺戟を読み取り解像する機能を持つ視覚機能――しかも、それが脳のような中枢神経とは独立別個に機能する――を備えているのかもしれない。しかも、高速で飛行する爆撃機を撃ち落とせるほどに高度な視覚機能を持つのだ。つまり、全身に眼と視覚神経があるということだ。
  たとえばタコやイカが、視覚がおよばない身体の「裏側」も含む全身の 表皮の細胞・色素胞をも自在に拡張収縮させることで、周囲の色や明るさに照応した保護色を生み出すように。

  ところがその熱核光線は、首相や主要閣僚が避難のために搭乗したヘリを撃ち落とし破壊してしまった。日本政府の首相と主要閣僚のほとんどが死亡してしまった。ここで、政府の中枢である内閣は――法的・政治的にではなく――物理的に消滅してしまった。

  アメリカ軍は、ステルス爆撃機による攻撃によってゴジラを撃退できない場合に備えて、核ミサイル攻撃を準備していた。ゴジラが日本を破壊したのち他併用を横断し、アメリカの西海岸に上陸する可能性が13%んもあるからだという。
  核爆弾なら爆心で数億°K、周辺でも数百万°Kになり、強い放射線を発するので、爆心ではあらゆる物質は素粒子に分解蒸発するし、周辺でもあらゆる分子は熱分解されてしまう。いかなる生物組織も蒸発・消滅してしまう。
  体内で抑制された核分裂をおこなっているゴジラも強力な核爆発のなかでは生存できないはずだ。

  だが、その核兵器が東京都の中心部で炸裂することになるのだ。しかも、その危急のときに日本の内閣(政府中枢)は消滅してしまった。この映画は、日本という国民国家の究極の政治的危機をめぐるシミュレイションのようではないか。

  ところで、仮にアメリカ軍が原潜などから核ミサイルをゴジラに照準を合わせて発射したとして、ゴジラを破壊できる場所で爆発させることができるだろうか。というのは、ゴジラの熱核光線は相当遠方まで到達するので、ゴジラ――またはグラウンドゼロ点――に近づく前に核ミサイルを破壊してしまうのではなかろうか。
  起爆前にミサイルを撃ち落として核弾頭を自らの「食糧」として体内に取り込んでしまうのではないだろうか。

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