そこに米軍は無人攻撃機――MQ1プレデターが主力か――の大編隊を波状的に送り込み上空からの爆撃を仕かけた。無人攻撃機の大編隊が上空を埋め尽くした。それは、まだ補充が不十分なゴジラのエネルギーを消耗させるための戦術だった。ゴジラは身体中から熱核光線を上空のあらゆる方向に放射しまくった。
そして、胴体からの放射のエネルギーが尽きると、口と尾の先端からの熱核光線の放射を繰り出した。尾を振り回して無人攻撃機を破壊していく。だが、そのためのエネルギーも尽きようとしていた。
そのとき、米海軍艦船が洋上から多数の巡航ミサイルを発射した。攻撃目標は、ゴジラを取り巻く日比谷から大手町、東京駅付近の高層ビル群だった。高層ビル群をゴジラに向けて倒して瓦礫をゴジラの身体上に浴びせて身動きが取れないようにし、さらに残骸のなかに閉じ込めようというのだ。
狙い通りにゴジラは倒れ込み、その頭部は大型コンクリートポンプ車のアーム・ノズルが届く位置に来た。
ゴジラの動きが止まった直後、ポンプ車と機械車両隊が接近してゴジラの口のなかに血液凍結剤を流し込み始めた。
ところが、流し込みを開始してまもなくゴジラは覚醒し、口から熱核光線を放出し、コンクリートポンプ車体を全滅させた。
だが、コンクリートポンプ車隊の第2陣が控えていて、残存エネルギーを使い果たしたゴジラが眠り込むと、隊列を編成して接近すると、ふたたびその口腔に血液凍結剤を投入していった。そして、目標分量100%を超え、臨界量まで投与した。
この作戦の間にゴジラはある程度のエネルギーを蓄えたようだ。投与完了の直後にゴジラは目覚めて立ち上がった。しかし、その瞬間に体内での核反応は停止し、ゴジラの全身は凍結したように固まってしまった。ヤシオリ作戦は成功した。
というわけで、閣僚団や政権党の重鎮たちがいなくなっても、生き残った若手に異端の有能な専門家を活用する度量と才覚があれば、日本は危機に対処できるし、困難にも立ち向かえるという教訓を残して、ゴジラ凍結作戦は完了した。
いや、旧弊な政権党の政治慣行がなくなった方が、つまり政権党のお歴々には退場してもらったがゆえに、創造力に富んだ若手層が自由に動くことができたから、作戦が立案され、奏功したというべきか。