シン・ゴジラ 目次
政治劇のテーマ…ゴジラ
見どころ
謎の巨大海洋生物の出現
「ものぐさ巨獣」の退散
多摩川の「決戦」
アメリカの動き
ゴジラのエネルギー代謝
恐るべきゴジラの反撃
内閣(政府中枢)の消滅
熱核攻撃まで15日
ヤシオリ作戦
ゴジラ凍結!
政治劇としての印象
ゴジラの形状特徴について
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風の谷のナウシカ
2014年版ゴジラ

ヤシオリ作戦

  さて、研究班は牧悟郎が残した研究資料の図を「折り紙」のように折り畳むことで読み解く方法を見つけた。それによってゴジラの体内で分解・変換されずに作用する「血液凍結剤」の分子構造式を求めることができた。研究班は全国の化学工場に化学式・分子式、製造工程に関する情報を公開して、ゴジラ凍結のための必要量の生産を依頼した。
  だが、必要量の生産のためには、もう1日余裕が必要となった。

  日本としては、安全保障理事会がもう1日、待機時間を繰り延べるのを認めるように働きかけるしかない。
  しかし、日本に近くゴジラの攻撃のリスクがより大きい中国とロシアは期限延長に反対している。アメリカ政府は、カヨコらの働きかけで態度を保留しているようだ。
  そこで、日本としては、フランスにゴジラの核エネルギー制御機能に関する情報を引き渡すのと引き換えに期限を1日延長する提案をおこない――攻撃開始決定にさいして拒否権行使することをチラつかせて――強硬に主張してもらうことにした。
  運よく、政権党の政調副会長、泉修一はフランス政府に働きかけをおこなえそうな人脈を持っていた。首相代理の里見もフランス大使に平身低頭の請願攻勢をかけた。日本政府はあらゆるコンタクト経路をつうじて、フランス政府を説得した。
  フランスは安保理で動き、アメリカはその提案を受け入れた。
  フランス政府を動かしたのは、何といっても、ゴジラという生物の体内で温和に実現されている核反応メカニズムに関する情報を提供されるという見返り条件だった。原発事故が続発して核発電エネルギー政策が袋小路に嵌まり込んでいたフランス政府としては、新たな核エネルギー制御技術が喉から手が出るほど欲しかったのだ。

  こうして、熱核攻撃までの期限が伸びた。
  それを受けて、日本の「ヤシオリ作戦」が開始された。ヤシオリとは、国造り神話のなかで、ヤマタノオロチを泥酔させて倒すために飲ませた美酒の名前だという。ここでは、ゴジラに「血液凍結剤」を飲ませるための作戦だ。
  ヤシオリ作戦には米軍の陸海空軍と海兵隊が兵器の提供と協力を申し出た。安全保障条約における共同作戦ということになった。

  ゴジラの口腔内に大量の血液凍結剤を投入するのは大型のコンクリートポンプ車で、大型建設機械車両と連結して薬剤を送り込む仕組みを編成することになった。
  しかし、ゴジラは直立したまま停止しているので、コンクリートポンプ車のアーム・ノズルが届く高さまでゴジラの頭部を持ってこなければならない。つまり、ゴジラを横倒しにして動けないようにする必要がある。
  そのため、作戦の端緒でゴジラを目覚めさせなければならない。ゴジラが熱核光線を発射しまくるエネルギーの充填が完了するよりも前に動かさなければならない。
  ゴジラはJRの線路上に脚部を置いて眠っている。そこで、大量の爆薬を積んだ新幹線700系の車両を2本並列に走らせて、ゴジラの足元に突入させた。大爆発でゴジラは目覚めた。

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