アルジャーノンに花束を 目次
知性とは何だろうか
原題と原作
見どころあらすじ
チャーリー・ゴードン
孤独なチャーリー
夜間コース
アリス・キニアン
アルジャーノンとの競争ゲイム
脳手術の人体実験
脳手術の人体実験
チャーリーの変化
アリスの苦悩
知性ゆえの悲劇
チャーリーの恋
研究ティーム内の葛藤
アルジャーノンの悲劇
チャーリーの反撃
絶望を目前にしての奮闘
人間の知性とは何だろうか
知性の劣化の意味
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脳手術の人体実験

  スーパーマウス、アルジャーノンを生み出した脳手術の効果は絶大だった。迷路ゲイムに関する限り、アルジャーノンは人間並みの知能になった。そこで、ニーマー博士とストラウス博士は、人間の知的障害の除去=解決のために、この手術を実験的に試みることにした。
  さて、被験者を誰にするか。
  ニーマー博士は、できる限り年齢が低い知的障害者に施術しようと提案した。
  というのは、ある程度成長した人間が、いきなり知能や学習能力を高めた場合、情緒と知能、知性と感性とのバランスを失う危険性があり、人格=精神の均衡が崩れ去ってしまう恐れがあったからだ。
  幼児期に施術して、知能を回復すれば、普通の子供と同じような精神的成長過程を経るので、精神的に安定した人格が形成されるはずだ、というのだ。というわけで、プロジェクト・リーダーの2人、ニーマー教授とストラウス博士は、低年齢ないし若年の被験者を探そうと考えた。


  ところが、これに対してアリス・キニアンは被験者としてチャーリーを推薦した。安全性や手術の結果については、まだいくつかの疑問=リスクがあるけれども、この手術によって知的障害が克服できるのならば、信頼関係を築き上げてきて親愛の情を抱くようになったチャーリーにチャンスを与えたかったからだ。
  そこまで手術の効果に期待し信頼しているアリスには、じつは手術の技術や施術後の長期の見通しについて、まだあまりに未解明で未確定なところが多いということは、知らされていなかった。マウスと人間とのあいだには、脳の構造や機能の点では、大きな違いが横たわっていたのだ。
  アリスは手術のリスクや負の側面については、専門家ではないので、かなり楽観視していた。

  医学界で、マウスでの実験に成功したからといって、いきなり人間に手術や投薬を施すような危険な真似は、通常ではまずありえない。マウスよりも身体サイズが大きく、人間に近い動物への試験を何度も試みて結果を確認してから、ようやく人間への試験が施される。
  ところが、とにかくこの新分野での成果を誰よりも早く達成して学界で発表したい2人の学者は、アリスの推薦に乗った。リスクに関する検証を十分しないで、チャーリーを実験台として手術を試みることになった。

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