さて、グーニーズの悪ガキたちに騙されて取り残されたブランドは、ほかに乗り物もないので、近所の幼児の(補助車輪付きの)自転車を奪い取って追いかけた。長身の高校生が小さな自転車に窮屈そうにまたがって、海辺に向かう道を走った。
運が悪いことに、その滑稽で珍妙な姿は、高価なスポーツカーに乗ったブランドの同級生に見つかってからかわれ、悪辣な走行妨害を受けた。この高級車に乗った鼻持ちならないキザ野郎こそ、大金持ちのカントリークラブの経営者のドラ息子だった。グーンドックスを買い取ろうとしている富豪の息子だ。
悪質な妨害のため、ブランドは自転車ごと道路下の急斜面に放り出され、樹林のなかに転落することになった。
一方、グーニーズの面々は荒涼とした海岸ですっかり古ぼけたレストランを見つけ出した。廃屋の一歩手前というか、廃屋同然だった。それは、地図にあるとおりだったが、荒れ果てたレストランで、不気味だった。
彼らがレストランに近づこうとすると、怪しげな自動車が近づいてきた。
車から出てきたのは、あの脱走事件の犯人一味だった。フラテリ一家の老婆とその息子2人だ。彼らは車から(死体が詰まっているらしい)大きな袋を運び出して、レストランに運び込んだ。
もちろん、子どもたちは怪しげな3人組がいかにも悪人らしく見えたので、怖くなった。だが、マイキーは強引にレストランに入り込もうと提案。結局、臆病者のチャンクを見張りに残して、廃屋に忍び込むことにした。
ところが、マイキー、デイタ、マウスの3人は、すぐに悪者3人組に見つかってしまった。そこで、マイキーたちはレストランに迷い込んだ客の振りをしてその場をごまかそうとした。
しばらして、ブランドがグーニーズの面々を探しにレストランに入り込んできたので、グーニーズの3人はその場を取り繕って、脱出しようとした。
ところでブランドは、同級生の2人の女の子と道連れになっていた。彼女らは、あのスポーツカーに同乗していたのだが、キザでいやらしい雰囲気丸出しのドラ息子から逃れてきたのだ。
しかしその間に、臆病者のチャンクが待ちくたびれたのかレストランに忍び込んでいた。
チャンクは迷って地下室に入り込んでしまった。探検するうちに、彼は冷蔵庫のなかに入った死体を見つけてしまった。脱走犯を追跡している捜査官で、罠にはめられ3人組に殺されてしまったのだ。
怯えてドタバタしているうちにチャンクはフラテリ一家に見つかって、地下牢に閉じ込められてしまった。そこには、「巨漢の怪物」がいた。
「怪物」は身長が2メートルくらいで、巨大なレモンのような形の頭をしていた。その顔は左半分が奇妙に下に崩れていて、一見、すごく恐ろしげに見えた。彼は、フラテリ一家からスロウス―― Sloth :「のろま野郎」――と呼ばれていた。
どうやら、老婆の末息子で、生まれてすぐに母親に乱暴に扱われたために、顔の半分が変形してしまったようだ。そのことで、スロウスは母親を嫌っているらしい。
スロウスはものすごい食いしん坊で、しょっちゅう何かを口にしていないと、不機嫌になり、乱暴になる。巨漢で怪力なので、地下牢に鎖で束縛されている。
はじめのうちは、スロウスの外観に恐れをなしていたチャンクだったが、大男がものすごい食いしん坊であることに気づくと、何やら親しみがわいてきた。「仲間」「同類」だと親近感を抱いたのだ。
さて、フラテリ一家はチャンクを捕まえたことから、子どもたちが潜んでいるらしいことに気づいて、家探しを始めた。こうして、グーニーズの3人とブランド、そして2人の少女たちは、悪漢たちから逃げ回ることになった。