逃げ回るうちにマイキーたちは、逃げ込んだ地下室の暖炉からさらに下に行く空洞を見つけた。その空洞は、財宝を隠そうとした海賊、「片目のウィリー」がつくった洞窟への秘密の経路の仕掛けの入り口だった。
そのあと、フラテリ一家との逃げつ追われつのドタバタが続いくことになる。
そのドタバタのなかで、古い新聞記事が報道していた冒険家のものらしい遺体のなれの果て――ミイラ化した死体――を発見した。
マイキーは、「地図によれば、財宝を隠した洞窟につながる道だ」と怖がるみんなを説得して、狭い空洞に流れ込んでいる水のなかに飛び込んだ。残りの面々も後に続いた。
スパイラルのような水流を転がるように流れ下ると、巨大な(ドームのような)洞窟に行き着いた。水路となっている空洞は洞窟の壁面で終わっていた。マイキーたちは、流れ落ちる水流とともに洞窟の底の海水に落下した。洞窟の底は、入江とつながっていたのだ。
少年たちが水面に浮きあがってみると、200年以上も前の帆船(海賊船)が係留されていた。すっかり古びていて、帆は破れ、策具も錆だらけだった。
面々はどうにかこうにか帆船の甲板までよじ登った。
どうやら、財宝を積んだままブリテン艦隊に追われて洞窟に逃げ込み、洞窟の入り口を閉ざして隠れた海賊船らしい。
というわけで、マイキーたちは甲板や船倉を探検して回った。そして、船尾近くの船室でテイブルを囲む何人かの骸骨を見つけた。骸骨は「いかにも海賊」というような衣服を着ていた。そのなかに、片目に眼帯を着けた頭蓋骨を乗せた遺骸があった。
片目のウィリーに違いない。
マイキーは、片目のウィリーに挨拶をした。
「ぼくらは、あなたがつくった仕掛けの罠をくぐり抜けて、ここまで辿り着きました。でも、まだこの船にも仕掛けがあるんでしょう。ぼくは、その罠には引っかかりませんよ」
ウィリーの前のテイブルには、天秤計りが乗っていた。天秤の上には金貨が積まれていた。マウスは、その金貨を失敬しようと手を出した。マイキーは叫んだ。
「マウス、よせ! それはウィーリーたちのものだ。手を出してはいけない」
マイキーの警告は正しかった。その天秤は仕掛けで、金貨をどかすと、大変なことが起きることになるはずだった。
少年たちは探し回って、ようやく宝石や金貨、王冠などがうず高く積み重なっている財宝の部屋を見つけた。
面々はそれぞれに、ポケットやバックパックなどに財宝を詰め込んだ。
「これだけの財宝があれば、ぼくらの家が建っている土地を買い取ることができるね。そうなれば、ぼくらは、あそこに住み続けられる!」
と歓声を上げながら。
ところが、そこにフラテリ一家が現れた。彼らもまた迷路抜けてきたのだ。
銃で武装したフラテリ一家は、グーニーズの面々を捕えて財宝を奪い取ってしまった。そして、少年たちを帆船から水面に追い落とした。
欲張りなフラテリ一家は、片目のウィリーの前にある天秤からもそっくり金貨をかっさらった。
ところが、天秤から金貨がなくなると、洞窟全体が轟音を立てて揺らぎ始めた。天秤は、洞窟全体を崩壊させるとともに、帆船を外海に流し出す「からくり」のスウィッチだったのだ。
すると、そこに、チャンクとともに巨漢スロウスが現れた。スロウスは怪力を使って鎖を引きちぎり、地下牢を破ったのだ。スロウスは、チャンクの仲間をいじめるフラテリ一家を蹴散らして海に叩き落とし、自らも飛び込んだ。
さて、洞窟を外海から隔てていた洞窟の壁は見る間に崩れ去った。帆船も海に向かって動き出した。
グーニーズの面々は、スロウスの助けを借りて、どうにか洞窟から海岸に脱出できた。