コナーズは捜査のために、テレヴィ局から中継映像データを提出させた。コナーズとしては、SWAT突入前後の紛糾混乱の最中に逃亡する犯人の姿を捕えた映像があるはずだと見たからだ。襲撃籠城のさい、各局のテレヴィ報道陣は銀行の周囲にハエのように群れ集まって報道合戦を繰り広げていたから、事件発覚後の事態の経過を映した大量の映像があった。
案の定、映像には、襲撃犯の仲間と思しき男が銀行から逃れ出る姿が映っていた。その男は、先頃コナーズが捜査を担当して捕縛したものの、裁判ではコナーズの捜査手続きの違法性により無罪放免となった男だった。
捜査班は、その男の情婦の住居の捜査に出向いた。そこで銃撃戦となり、男はピックアップトラックで逃げ出した。デッカーはバイクで追走し、そのあとをコナーズが車で追いかけた。カーチェイスの末にコナーズは男を捕縛した。男の情婦も、犯人仲間の1人(共同正犯)の逃走を幇助したという容疑で引っ括った。
警察は室内捜索の結果、その男が高跳びのために用意していた現金(札束)を押収した。それは、以前の別の銀行強盗事件の証拠として警察に保管されていた札束だった。その札束には、独特の臭気がつけられていたために、別の事件の証拠であることが発覚したのだ。
ということは、警察の内部に強盗団の協力者がいて、警察の証拠物品保管室にあった札束を容疑者に襲撃事件の報酬として渡したということになる。警察しては由々しき事態となった。
■カロ刑事の死■
ところがそこに、まるで誂えたかのように、バーニー・カロ刑事の「自殺」事件が発生した。
状況証拠から、カロ捜査官が自分で頭部を撃ち抜いたと見なされた――死亡時の正確な状況は司法解剖ののちに解明されるであろうが。
しかも、カロの自宅からWNグローバル銀行の設計図のプループリントやらデイタが押収された。つまり、カロは銀行強盗に加担したものの、精神的不安定に陥り、犯罪への加担を後悔して自殺したかのように見られる。
そして、強盗団の残りのメンバーのうち3名が特定された。そのうちの1人は、コンピュータ・ハッキングの天才でプログラマーの韓国系の青年だった。コナーズとデッカーはその青年の家の捜索に出向いた。
だが、すでに銃撃されて死体となった容疑者を発見した。とはいえ、殺害直後で、手を下したヨークがまだ住宅のなかに残っていて、2人と銃撃戦になった。不意打ちを食らった2人は、ヨークを取りに逃がしてしまった。
■コナーズの「爆死」■
捜査陣は、強盗団の残りの2人がヨークと会うためにとある住宅で待ち合わせるという情報を探り出した。コナーズの指揮下で、4名の市警の刑事たちがその住宅を取り囲んで張り込み待ち伏せた。
真夜中、住宅の前にやって来た2人の容疑者はヨークを待った。ところが、ヨークが現れないことに苛立って住宅に入り込んだ。コナーズは動くなと指示したが、焦れた刑事の1人が住宅に入り込もうとして中の2人との銃撃戦になった。仕方なく、コナーズもデッカーとともに住宅に突入して銃撃戦や乱闘を繰り広げることになった。
容疑者の1人は1階の部屋で射殺され、残り1人とコナーズは2階で乱闘になった。
だが、1階のキッチンには、ガスを漏出させてタイマー発火装置で爆発させる仕かけが仕組まれていた。1階の刑事たちは、爆発寸前にどうにか脱出できたが、コナーズは姿を現さなかった。デッカーたちが見守る前で、住宅は爆発した。
爆発後の調査の結果、コナーズも爆発に巻き込まれて死亡したものと判断された。というのも、2階の部屋からコナーズの識別番号の警察官バッジがついた黒焦げの死体が1体残されていたからだ。