刑事フォイル第4話 目次
第3話 レーダー基地
バトゥル・オヴ・ブリテン
運送業者の殺害
美術品の地方避難
アンドリュウの任務
プロッターは全員女性
ステュアート神父
プロッターの自殺
ペンダントの持ち主
グレイム大佐の死
レイダー基地のスキャンダル
美術品窃盗事件
戦時体制と権力者の驕慢
 
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レイダー基地のスキャンダル

  おりしも、そんなフォイルの自宅をアン・ロバーツが訪ねた。突然転属になったので、別れのアンドリュウに挨拶をしようと立ち寄ったらしい。
  フォイルは息子がスパイ罪の冤罪で逮捕されたことを告げて、基地の機密事項に触れない範囲で事情を聞き出した。
  アンはルーシーの自殺があったこと、そのことをアンドリュウに話したことが理由で突然の転属を余儀なくされたらしいことを語った。
  そして、フォイルは基地の司令官がグレイム大佐であることもつかんだ。
  こうした事実を糸口に捜査を進めたフォイルは、ルーシーの自殺とトラック運転手の殺害事件には因果関係があることを解明した。それはこういうことだ。

  レイダー基地にプロッターとして勤務していたルーシー・スミスは、司令官のグレイム大佐から性交渉を強要され、その結果妊娠してしまった。しかも、任務上の欠格を理由に解雇され、基地から実家に戻った。
  しかし、妊娠にいたる経緯を恥じて、ブライトン駅で列車に飛び込んで自殺してしまったのだ。
  グレイム大佐とケラー中佐は、軍事機密という理由で、この事件に関する調査を一切禁じてしまった。
  ところが、ルーシーの自殺にいわくがありそうなことをアンドリュウがつかんだことから、ケラーは軍情報部を動かしてアンドリュウをスパイ容疑で逮捕させた。


  ところで、アンドリュウのロッカーに機密書類を入れたのはグレアム大佐だった。ケラーは反対だったが、黙認するしかなかった。大佐は若い女性を言葉巧みに誘ってレイプしたり、その娘の自殺後には巧妙に隠蔽工作を仕組んだりと、じつに悪知恵が働く男だったようだ。
  ケラーの言い分はこうだった。
  グレイム大佐の指揮下でレイダー隊のプロッターの訓練のノウハウがようやく確立し、これによってドイツ空軍の侵入と空爆への対抗策がどうにか立てられる段階に達した。   しかし、ここでグレイムの不祥事が発覚して解任されれば、プロッター訓練計画が頓挫してしまう。だから、あくまで基地の不祥事を隠蔽しなければならない、というわけだ。

  ところが、娘の自殺の原因を知った父親、ハロルドは事件の真相の究明が「軍事機密」の壁に阻まれて不可能であることを知って、自らの手で復讐しようと決心した。そしてグレイム大佐の住居を調べ、大型ナイフをしのばせて、夜中にヘイスティングズに行った。
  ところが、灯火管制と標識撤去のためにハロルドは道に迷ってしまった。そこで、街路を歩いていた老人に所番地を聞いたのだ。耳が悪い老人は、グレイムをグレアムと聞き違えて教えたらしい。
  ハロルドはグレアムの住居を訪ねてドアを開けさせて訪ねた。
  「グレイムさんかね」
  酔っていたかしたグレアムは名前を正確に聞き取り損ね、「そうだ」と答えたために、刺殺されることになった。
  ハロルドは娘の復讐をした印として、ペンダントをグレアムの手に握らせておいたのだ。

  しかしハロルドは、数日後の新聞で殺されたのがグレイムではなくグレアムだと知って愕然とした。
  それで、ふたたび復讐をもくろんで、数日後にグレアムを刺殺することになったのだ。
  いずれにせよ、警察が一連の事件の真相と関連を解明したことで、海軍当局は真相隠しのためにグレイム大佐と共謀したケラー中佐はキャリアを失い、重罪に問われることになるだろう。
  ただし、アンドリュウの戦闘機のIFFが故障したのは、偶然の事故だった。だが、その事故でアンドリュウが不信感と警戒心を強め基地の秘密を探ろうとしたため、スパイ容疑での逮捕という強硬手段に訴えることになったのだ。

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