刑事フォイル第4話 目次
第4話 レーダー基地
バトゥル・オヴ・ブリテン
運送業者の殺害
美術品の地方避難
アンドリュウの任務
プロッターは全員女性
ステュアート神父
プロッターの自殺
ペンダントの持ち主
グレイム大佐の死
レイダー基地のスキャンダル
美術品窃盗事件
戦時体制と権力者の驕慢
 
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第4話 レーダー基地

■原題 Eagle Day ■
  原題の「イーグルデイ」とは、 Adlertag (鷲の日作戦)と呼ばれたドイツ軍によるブリテン空襲・空爆作戦をそのまま英訳したもので、要はドイツ空軍のブリテン攻撃の始まりを意味する。
  原題は、ドイツのブリテン本土空爆という事態に対応したブリテン軍の体制や市民社会の変化のなかで今回の一連の事件が発生したこと、つまり戦時体制ならではの特殊な事件の原因と背景を示すために掲げられたものと思料できる。

  ドイツ軍の空襲は、まずブリテン島南岸のレイダー施設への空爆から始まったとさえ言える。というのは、レイダーは敵機来週を察知する「目」であって、英国本土をめぐる戦争の帰趨を決する軍事装置こそ、レイダー基地だったからだ。
  この辺りに関しては、ブリテン本土をめぐる英独の空の戦いを描く⇒『空軍大戦略』を参照してほしい。

バトゥル・オヴ・ブリテン

  ヒトラーは、対ブリテン戦線の目標を、ブリテンを破壊することではなく、ナチス・ドイツの西ヨーロッパの支配・優越を認めたうえでブリテンと早期に講和することに置いていた。
  ところが、ブリテンは講和に応じず、むしろチャーチルを首班とする戦時政権を樹立してドイツとの全面戦争に臨む態勢をを構築した。
  そこでドイツ軍は、ドイツの軍事的優位を誇示するためにブリテン本土への攻撃をすることになった。
  だが、ヒトラーは空軍力を漸次的に誇示してドイツの軍事的優位を示していけば、ブリテンは講和に応じるしかなくなるだろうと見て、最初から首都ロンドンの空爆には踏み切らなかった。
  まずブリテンの防空力に打撃を加え、ドイツ空軍の攻撃を察知するためのレイダー基地への爆撃、次いでブリテン国内の空軍基地への爆撃で戦闘機など航空戦力を破壊するという手順で攻撃を段階的に強化していった。⇒参考記事
  ところが、ブリテンは講和に応じることはなく、ついにドイツ空軍は本格的なブリテン本土空爆を実行することになる。ここにいたって、英独は文字通り「全体戦争 Totalkrieg (総力戦)」に突入することになった。


  ドイツのブリテン攻撃の段階的進行について概述すると、以下のとおり。
  まずはじめに、ドイツ空軍は英仏海峡の制空権を掌握する作戦を展開する。これはだいたい1940年7月上旬から8月上旬までの期間。
  次いで沿岸部への攻撃。この局面では、ブリテン空軍の基地や空港、レイダー基地への空爆が中心で、地方都市への空爆は散発的だった。これは8月中旬から末頃まで。
  続いて、ブリテンのほぼ全域の軍事施設や大規模施設への空爆を展開した。これは8月末から9月はじめまで。
  そしてついにロンドンなどの大都市への本格的な空爆作戦となった。これは9月上旬以降。

  刑事フォイル第4話は、1940年8月の出来事を描く。物語のなかで沿海部の地方都市ヘイスティングズの住宅街へのドイツの散発的な空爆があったから、8月の半ば頃ではないかと思われる。

  第4話では、3つの出来事の流れが同時進行し、やがてすべてが結びついていく。
  1つ目は、空爆の後の住宅の瓦礫のなかから運送業者の刺殺体が発見されたことから始まる殺人事件の捜査。被害者はどうやら美術品の盗難事件に関与していたらしい。
  2つ目は、フォイルの息子、アンドリュウが配属されたレイダー基地での一連の不審な出来事。基地での事件を調べ始めたアンドリュウは、上官の陰謀でスパイ容疑で逮捕されてしまう。
  3つ目は、サマンサの父親の牧師が、娘が軍や警察で働くことを心配するあまり、連れ戻しにやって来たこと。その牧師は、美術品盗難事件の解決のために一役買うことになり、そして、サマンサンの仕事の意義を認めることになる。

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