インサイドマン 目次
奇妙な銀行強盗
見どころ
あらすじ
いく人ものスティーヴ
ニュウヨーク市警察局
銀行会長アーサー・ケイス
闇の過去
警察と強盗団との駆け引き
強盗団の奇妙な行動
やり手弁護士の介入
フレイジャーの挑戦
大混乱に消えた強盗団
捜査の幕引きと疑念
ユダヤ人狩りとスイス銀行
なぜ、資料を秘匿保管し続けたのか
ユダヤ人団体の返還要求
ロスチャイルドの転身
強盗団は誰のために動いたのか
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ボーン・アイデンティティ
コンドル

あらすじ

  ニュウヨークのマンハッタンで奇妙な銀行強盗事件が起きた。
  襲われたのは、マンハッタン信託銀行の第53番支店。武装した4人のグループが銀行に侵入して、なかにいた銀行職員や警備員、客など約40人を人質にして立てこもった。
  ニュウヨーク市警はフレイジャーを事件担当の指揮官に強盗団との交渉を始めた。ところが、この強盗団は何から何まで計算つくしていて、警察側の行動をすべてつかんでいた。
  そして、SWAT突入の直前に大騒動を引き起こし、その混乱に紛れて犯人は一人残らず姿を消してしまった。しかも、事件後捜査を進めると、銀行側に1ドルの被害はなかった。
  フレイジャーが現場捜査に臨んだとき、襲撃の首謀者ダルトンが近づいてきてフレイジャーの服のポケットにダイアモンドを放り込んだ。そのダイアととマデリーンからの非公式情報を手がかりに、フレイジャーは奇妙な銀行強盗の狙いは、銀行グループの会長、アーサーの「闇の過去」につながるものであることを察知した。
  だが、銀行会長アーサー・ケイスは市長に圧力をかけて捜査の幕引きをはかった。市警をめぐる政治駆け引きのあげく、フレイジャーは昇進と引き換えに事件の捜査は取り止めるしかなくなった。

  銀行襲撃事件をめぐる顛末は、あらまし上記のとおり。
  そこで、私たちは、アーサー・ケイスの闇の過去について勝手に想像の翼を広げてみようと思う。

いく人ものスティーヴ

  物語の冒頭で流れるのは、ディジタル映像だ。
  その映像のなかで、強盗団の指導者ダルトン・ラッセルは「完璧な計画による銀行強盗を成功させる」と宣言する。「絶対に逮捕されない完全犯罪として成功させる」と言い切るのだ。
  その男は狭い空間のなかに閉じこもっているらしい。
  だが、その映像は、あとで誰かに見せつけるためのものなのだろうか。そうだとすれば、誰に?
  この映像が容疑者の特定を可能にしてしまうものだから、映像は警察関係者に見せるものではないはずだが、その意図は不明だ。

  そのあとの映像物語は、フラッシュバック――断片化された場面が断続する回想シークェンス――で銀行襲撃事件を描き出す。事件はこういう経過だった。
  あるウィークデイの朝。
  マンハッタン島のハドスン河沿いの道を清掃会社の表示を施したヴァンが、ウォール街方面に走っていく。ブロードウェイとウォール街に向かう通りとの交差点を曲がり、繁華街の一角で停車した。マンハッタン信託銀行53番支店の前だった。
  ヴァンから清掃用具を取り出した4人が、定例の仕事のように銀行のドアから入っていった。ロビーに入り込むと、彼らはただちに3方のドアをロックした。そして、防犯カメラをすべて無効にしてしまった。
  リーダー格らしい男の号令で4人は拳銃や機関銃をかざして、銀行襲撃を宣言し、銀行員や警備員、居合わせた客たちに床に伏せるよう命じた。迅速で威圧的な行動は、銀行員や客たちから抵抗したり考えたりする余裕を奪い、またたく間に行内を制圧・掌握してしまった。

  強盗団は互いに「スティーヴ」と呼び合っていた。彼らは、人質たちを地階に寄せ集めて、行員と客、男と女というような区分を示しながら、人質を分断しグルーピングしていった。そして、人質全員から財布や携帯電話や鍵などを没収し、さらに全員例外なくジャンプスーツ(塗装業務で防護のために着るようなフード付きの服装)への着替えと顔マスク着用を強要した。こうして、大まかな体つき以外は、区別がつかないようにしてしまった。
  そのあと、グルーピングした人質を部屋ごとに閉じ込めた。
  おりしもそのとき、銀行の前に街路巡回の警察官がやって来た。そして、普段なら営業を開始しているはずの銀行のドアがすべて施錠されていることを訝り、内部を覗いた。すると、目の前のドアが開き、ジャンプスーツ姿の武装した男が顔を出し、警察官に告げた。
  「銀行は制圧した。大勢の人質がいる。だから近寄るな。市警にそう伝えろ」と言い捨てると、ドアを閉めた。

  してみれば、襲撃者一味は、警察の介入、警官隊との対峙をあらかじめ予定した計画を立てていたということがわかる。
  一味の首謀者、ダルトン・ラッセルを演じるのは、クライヴ・オウエン。世界的規模で闇の金融ネットワークを組織していたBCCIをモデルに描いた、あの映画「バンク」( The International )で主人公のインターポール連絡官を演じた男優で、この人が登場すると、これまた金融業の闇を暴く映画なのか、という期待(先入観)を抱いてしまう。

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