IBBCが雇った暗殺者はアメリカ人で、ニューヨークに在住する可能性が高い――大都市はその道のプロたちが潜みやすい環境だから――と判断したルイス・サリンジャーはニューヨーク市警察(NYPD)の協力を受けて捜索を進めることにした。形の上では、ニュウヨーク市警察の捜査をルイスが情報面で助言・支援するということだ。
NYPDから暗殺者捜索のために派遣されたのは、イギイ・オーネラス、バーニー・ウォード、グローリア・ハバードの3人の捜査官。彼らは、「義足用の特殊な靴」を手がかりに整形外科医とその患者を調べることにした。義足メイカーのうちニュウヨーク在住の顧客リストまたはニュウヨーク市の整形外科医リストから容疑者を割り出すことにした。
そして、ある整形外科医から患者記録を取り寄せて調査したところ、怪しげな1人の患者が浮かんだ。記録に記載された住所に電話を入れると不通だった。その住所に行ってみると、すでに取り壊されたビルの跡地だった。
手がかりは消えたかに見えた。だが、その一帯に土地勘のあるものだろうということは知れた。イギイとバーニー、ルイスはビルの跡地で茫然と立ちつくしていた。
ところが、おりしもそのとき、くだんの暗殺者は、突然、IBBCの保安係ヴェクスラーから電話連絡を受けた。暗殺者はコンタクト場所としてグッゲンハイム現代美術館を指定した。暗殺者は現代美術館に向かった。
ヴェクスラーは名前からするとドイツ人だ。彼は、IBBCに雇われて企業活動をめぐる保安業務を担当しているらしい。つまり、企業の犯罪の証拠や痕跡を消すための暗殺などの裏仕事を指揮しているらしい。
そんな状況が偶然生じたことから、長身で義足の男がニュウヨーク市街を歩く姿を、偶然イギイが見つけることになった。NYPDの3人の刑事はは手分けして、慎重に男を尾行して美術館を訪れることになった。
さて、グッゲンハイム美術館に入館した暗殺者は、ある絵画作品の前にある長椅子に座った。そこにヴェクスラーがやって来て、隣に座った。
周囲に人がいないことを確認すると、2人は小声で会話した。ヴェクスラーは暗殺者にルイスの暗殺を依頼した。
けれども、それは罠だった。IBBCが、ルイスに手がかり(行動の痕跡)をつかまれた暗殺者を抹殺するための罠だった。暗殺者を美術館に呼び込むための仕掛けだった。
一方、IBBCの保安担当と暗殺者が密会している場面を目撃したルイスたちは、両者を追跡捕縛する包囲網を敷いた。バーニーとウォードが暗殺者を捕え、イギイがヴェクスラーを尾行・捕縛することにした。