ポストマン 目次
原題について
あらすじと見どころ
破局後の世界
ヒーローなき物語
放浪者
ホルニスト軍団
ポストマン
パインヴュウ
幻想と希望と
ヘニングズの悲劇
蒔いたタネは育つ
ホルニストとの闘争
ブリッジシティ
決   戦
市民兵の結集
力関係の転換
ポストマンの記念碑
国家または国民の再建…
軍事的支配を最優先する立場
ミュニケイションを最優先する立場
ヨーロッパの国家形成史
「再建されたUSA」
「国」とか「国民」を考える
「一国史」「各国史」の欺瞞性
日本の国家形成
利害の取引き関係としての国家

現代文明破局後のポスト・カタストロフ世界

  21世紀初頭、おそらく全地球的規模での大規模な戦争によってであろう、世界秩序と文明は崩壊し、北アメリカでも連邦国家と統治秩序も消滅してしまった。人口は現在の数十分の1に激減。人類は死滅の淵に追い詰められている。
  生き残ったごく少数の人びとは、北アメリカ各地に分散・孤立して、文明の廃墟に取りすがりながら、小さな集落共同体を形成して、かろうじて生存していた。
  そこに、ホルニストと呼ばれる凶暴な私兵団(武装集団)が、ただ1つの軍事組織として物理的暴力を独占していた。彼らは、各地に孤立するいくつもの無防備な住民共同体を暴力で威嚇・収奪することで支配していた。

  ところがそこに、ただ「今日を生き延びるための食べ物がほしい」と願望する、いじましい放浪者が登場する。
  その男は、「再建された合州国政府のポストマンとして、各地の郵便連絡体制の組織化にあたっている」という話を捏造した。その「虚偽の物語」が偶然のきっかけとなって、「合州国の郵便システム」を再建する運動が始まった。それは、各地の住民共同体のあいだの連帯と意思疎通を組織化する運動になっていく。
  こうして、国家形成( state-making / nation-building )をめぐる2つの道の対決が始まった。


  とはいえ、状況設定はかなりいい加減だ。「ナウシカの世界」のような、緻密に考え抜かれた状況ではない。
  核戦争で環境は汚染されているらしいが、森林の生態系や水の循環は正常に持続しているように見える。
  ここでは、そういう「つじつまの合わない」状況設定の綻びを度外視しておく。

  それでも、この物語の背景となっている状況を、映像から読み取れる限り、示しておこう。
○全地球的規模でのカタストロフ(破局と災厄)があって、人類は破滅の淵にあること。
○出来事の舞台は、北アメリカの内陸中央部(ロッキー山麓の平原、プレイリーやグレイトプレインズなど)で、要するに、人類の集落共同体が生き延びているのは、ミネソタ、コロラド、ワイオミング、オレゴン、オクラホマなどの内陸諸州だけで、沿海部では人類は死滅したと思われる。
○少なくとも、大西洋の生態系の破壊と汚染はひどいようだ。アイスランドにも汚染がおよんでいるという。
○20世紀末に大戦争があって人類文明は崩壊し、それから十数年たっているらしいこと。
  物語はオレゴン州での出来事だという。

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