エネミー・オブ・アメリカ 目次
NSAの暴走
原題について
見どころ
あらすじ
議会委員長の死
野鳥観察カメラの映像
監視システムとしてのIT
巻き込まれた弁護士
クレイトン担当の事件
家宅侵入と監視
信用失墜作戦
人狩り作戦
映像デイタの行方
ブ リ ル
ブリルの隠れ家
必死の逃走
攻守逆転
落とし穴
起死回生の大バクチ
  NSA対マフィア
結   末
つけたし 余計な話題
  「隣の腕白兄ちゃん」
  〈強硬な愛国者=卑劣漢〉
  監視テクノロジーの凄さ!
  IT通信暗号の認可とNSA
  国家装置とマフィアの等置
  なぜ国家装置は膨張したがるのか
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必死の逃走

  NSAは、ボルティモアのライルの隠れ家のありかを突き止めていた。武装したエイジェントたちが廃ビルをめざしていた。やがて彼らはビルを取り囲み、侵入を試みた。扉がこじ開けられたとき、ライルのコンピュータ画面の1つが警報を発した。 「嗅ぎつけられたな。お前何かしただろう。
  ・・・コンヴィニで電話したのか、愚か者。おかげで、ここがバレてしまったじゃないか。
  では逃げるぞ、猫を頼む」
と言って、ライルは逃走の準備を始めた。そして、起爆タイマーをONにした。クレイトンは猫をバッグに入れて、ライルに続いた。
  階段を駆け下りて、2人は車に飛び込み逃げ出した。
  2人がいたフロアに上がったエイジェントたちは、ビルを爆破する仕組みが働いていることを知り、あわてて逃げ出した。

  一方、ビルの外で待ち伏せていたエイジェントたちは車で追いかけた。
  そして、ヴァイオレンスアクションものに恒例のカーチェイス。銃撃、幅寄せ、追突…。ライルは鉄道の操車場の敷地に逃げ込んだ。だが、走る列車に車を押しつけられて摩擦火花が飛び散る。何とか、ブリルは追いすがるRV車を転覆させ破壊したものの、彼の車もまた火花で火災を起こしてしまった。
  猫ともども何とか脱出したものの、映像MCDは焼け焦げて、壊れてしまった。レイノルズの反抗を立証する映像は消滅した。
  NSAエイジェントの別の一団が追走してくる。2人は、車道まで逃れてベンツ(おそらく最高級の6ℓ/500馬力の)を奪って逃走した。

反  撃

  だが、レイノルズらの犯行現場の映像を頭に焼きつけたライルは、レイノルズへの反撃を開始した。NSAのテクノロジーを逆利用しITを使って、レイノルズを追い詰めようとした。
  ライルはクレイトンとともに、共和党保守派の下院議員、サム・アルバートが宿泊しているホテルの部屋にNSA専用仕様の盗撮カメラ・映像送信機・盗聴器などを仕かけた。煙感知器にカメラを設置し、映像をテレヴィモニターに送信するように設定した。衛星監視用の発信機も取り付けた。それも、わざと見つかりやすいように。
  アルバート議員は、NSAによる監視法案の推進役だったから、しっぺ返しとして、この法案の危険性と陰湿さを思い知らせ、かつNSAが監視装置を好き勝手に不正利用している実態を暴くためでもあった。

  監視カメラ装置は、アルバートが女性秘書と情事を楽しんでいるところを撮影して、それを部屋のテレヴィモニターで映し出すようになっていた。テレヴィを観ようとした女性秘書が異常を発見。すぐにホテルのセキュリティ担当係りを呼びつけた。
  係りが部屋中を調査してみると、いたるところに監視装置が仕かけられていた。事件は公になり、大騒ぎになった。もちろん、被害者のアルバート議員は憤慨した。それで、NSA局長に対して、組織内部に監視装置を不正利用している者がいるので厳格に調査しろ、NSA本部の統制を外れて「暴走」している輩に懲罰を与えろ、とねじ込んだ。

  日頃「愛国心」だの「国家の危機」だの、「戦争も辞さない」だのと権威主義を振り回している保守派に限って、自分が権力による抑圧や封じ込め、監視などの対象になると逆上しやすい。まして、自分が前線に赴いて自己犠牲を払おうという気持ちなんか微塵もない。彼らにとって、「愛国心」や「国家の権威」「秩序」などというものは、利権誘導や金儲けの体のいい口実でしかない。犠牲や負担、忍耐は、ほかの人間たちが被るべきものだと割り切っている。だから、うろたえやすい。
  「愛国心とは卑劣漢の最後の逃げ場だ」とはよく言ったものだ。

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