エネミー・オブ・アメリカ 目次
NSAの暴走
原題について
見どころ
あらすじ
議会委員長の死
野鳥観察カメラの映像
監視システムとしてのIT
巻き込まれた弁護士
クレイトン担当の事件
家宅侵入と監視
信用失墜作戦
人狩り作戦
映像デイタの行方
ブ リ ル
ブリルの隠れ家
必死の逃走
攻守逆転
落とし穴
起死回生の大バクチ
  NSA対マフィア
結   末
つけたし 余計な話題
  「隣の腕白兄ちゃん」
  〈強硬な愛国者=卑劣漢〉
  監視テクノロジーの凄さ!
  IT通信暗号の認可とNSA
  国家装置とマフィアの等置
  なぜ国家装置は膨張したがるのか
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攻守逆転

  ライルはさらに、ハッキングと情報改竄によって、レイノルズの妻の銀行口座にどこからか大金が振り込まれるように仕組んだうえに、すべてのクレディットカードを使えないようにしてしまった。あわてたのはレイノルズだ。いつも部下の専門家たちに「あれをせい、これをせい」と命令ばかりしているが、しょせん政治屋でしかないから、いざ自分が窮地に陥ったときには「だるまさん(手も足も出ない)」になってしまう。

  顔色が青ざめたところに、NSA本部からの電話。明朝一番から、本部で緊急会議を開催するという。
  翌朝の緊急会議では。局長(当然、ペンタゴンの有力将官が担当する)は、アルバート議員への監視スキャンダルについて怒りを爆発させた。
「誰が勝手に味方の議員への監視をおこなったのかただちに調査しろ。本部の統制を無視した行動は許さん」と。だが、味方をもスパイするのが、この業界の習い性。
「ひょっとして、必要な作戦として議員を監視しているのなら、すぐに理由と作戦計画書を提出しろ」と。
 これは痛烈な皮肉だ。スパイ機関は、あまりに多くの極秘の隠密作戦が繰り広げられているので、局長すら情報を把握しかねるということか。あるいは、あとで非合法性や不当性が追求されるかもしれない作戦は、責任追及を回避するために局長が知りたがらないということかもしれない。
 もちろん、堂々と名乗り出たら、「つるし首」にするつもりだろう。
 推進派の有力議員を怒らせて、監視法案の議会通過によってNSAの予算と権威を拡大する好機を潰すような愚行をしたのだから。

落とし穴

ライルはレイノルズが動揺したタイミングを見計らって、取引のための交渉を申し入れた。これは、取引交渉のなかで、レイノルズにハマーズリーをはじめとする一連の殺人事件について言質を引き出すためだった。これとは別に、レイチェル殺害の意図についても追及するつもりもあった。
 交渉役はライル。NSA要員には感知できないように監視・盗聴装置を配置して、会話と映像を記録して証拠にするつもりだった。少し離れた建物から監視・盗聴装置を操作するのはクレイトン。
 だが、電波を送信する限り、NSAは最新装置で電波の受信先を探り出すだろう。せいぜいそれまで数分しかない。4分以内にクレイトンは逃げ出さなければ捕まってしまう。だから、3分間の会話で言質を引き出す、とライルは計画した。

 というわけで、ワシントン市街の裏通りの一角でライルとレイノルズ(と手下たち)が会見することになった。  約束の時間、レイノルズたちは指定の場所(裏通り)にやって来た。すると、その道と金網で仕切られた駐車場にDC警察の巡査がやって来た。それはライルだった。
 話し合いが始まった。だが、話題がレイチェルの殺害におよぶと、ライルは冷静さを失って、レイノルズを追及し始めた。予定の3分間では言質は取れなかった。そのあいだに、NSAエイジェントたちはクレイトンが潜む建物の部屋を割り出してしまった。

 ライルは作戦失敗を覚ってクレイトンに逃走するように指示したが、間に合わなかった。しかも、ライルも逃げ道を封じられて、ワゴン車のなかに拉致されてしまった。まもなく、クレイトンも同じワゴンに押し込まれた。
 反撃作戦は完全な失敗に陥った。映像はないうえに、2人とも捕まってしまった。  だが、映像があると信じているレイノルズは、ライルに映像を渡せと迫った。そして、ライルの左手掌を銃で撃ち抜いてしまった。
「映像のありかを言え。さもないと、次は容赦なく殺す」とレイノルズ。絵に描いたような絶体絶命の窮地!

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