原題でも邦題でも、題名からは、内容の想像ができない、不思議な題名。作品を観終わると、なるほどそうかもしれない、とちょっぴり納得。これは、寡婦となった前大統領夫人と彼女を警護する者たちの物語。政治の道具として利用される立場を拒否し自分らしく生きようとするテスと、彼女の反骨と「気紛れ」に振り回されるシークレットサーヴィスのあいだの絆の深まりを描くコメディ。
原題は Guarding Tess で、ガーディングを動名詞と見ると「テスの警護」、そして現在分詞と見ると「テレサを警護するときは」というふうに、ニュアンスのわずかな差が出る。1994年作品。
テスとは、テレサの略称=愛称。
見どころ:
これも、元気な老婦人が活躍する喜劇タッチの物語。財務省シークレットサーヴィスのエリート警護官が、この老婦人に振り回されながら、彼女の心情や性格を理解し、信頼関係や友情を築いていく。事件はいくつも起きるとはいえ、取り立てて手に汗握るような大きな事件もない。だが、何かほのぼのする作品。
信念をもち毅然と生きる老婦人を演じさせたらやはり、シャーリー・マクレイン。
前大統領の夫が死去して寡婦となったテレサ、これからは自由にマイペイスで生きようと思ったのかもしれない。ところが、現職の大統領はテレサに警護班を張りつけた。テレサのおかげで大統領になれたと感謝しているからだ。
大統領は、VIP扱いを受けて多くの人間にかしづかれるのは気分がいいだろうと考え、「恩返し」を押しつけて、いまだに人気の高いテスに恩を売って――あわよくば政治的に利用しようと企んで――いるのだ。
だが、いまだに政治的駆け引きの対象となり続け、警護班につきまとわれるのに辟易しているテスは、当てつけのようにわがままや気紛れを連発して警護班を切りきり舞いさせる。
ある日、テスは警護官たちを出し抜いて、行方をくらませた。結局、地元の警察が車ごと連れ戻してくれた。失敗に懲りたダグラスは、テスの警護任務を降りようとしたが、またもや大統領命令で復帰を余儀なくされた。
この衝突を機会にダグラスとテスは友人としての交流と絆を深めることになった。ダグラスは、1人の年配女性、1人の母としての苦悩、公人としての責任を全うしようとするテスの立場を理解するようになった。その矢先に事件が起きた。
テスがまたもや行方不明になり、どうやら誘拐されたようだ。ダグラスたちは必至でテスを探し当てようと奮闘する。
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