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瀬川悠人はなぜ脅えるのか

  マラドーナ・ピアノコンクール、このサッカー選手権の名前のようなコンクールで、「のだめ」の前に十数年ぶりで現れて、彼女の心の古傷を甦らせるきっかけとなった人物、それが瀬川悠人だ。

  音楽のコンペティションの名称を「マラドーナ・コンクール」にするあたり、原作者の二ノ宮知子はサッカーフリークなのかもしれない。
  千秋真一がヨーロッパに渡って最初の指揮者コンクールの名称も「プラティニ・コンクール」となっている。プラティニは、かつてワールドカップで活躍したチェコのサッカー選手だ。

  瀬川悠人は、のだめが小学生のときに通ったピアノ教室の同門だった。のだめは家の近所の「ピアノのお姉さん」の教室で楽しく遊びながらピアノを学んでいたが、その才能ゆえに、花桜先生教室に移ることになって、そこで悠人と出会った。
  彼もピアノの才能あふれる少年だった。そして、花桜先生の厳しいレッスンに少し怯えてもいた。のだめは、厳しく指導する先生と衝突してその教室をやめてしまった。
  そんな2人がコンクールで偶然出会った。ところで、悠人は高校生のころから俊才ぶりを発揮して大きなコンクールで優勝し、ヨーロッパ留学をしていた。
  2人とも最終選考に残り、瀬川悠人はその正確な演奏で、「のだめ」は技術の卓越さと幻妙さで、審査員たちに衝撃を与える。
  だが、2人とも、この邂逅によって、心に大きな動揺をきたす。
  「のだめ」の動揺の原因は、わかりやすい。悠人が、あの嫌でたまらなかった花桜先生のピアノ教室の記憶をよみがえらすきっかけになったからだ。のだめは、他人からの指導や練習の強要を何よりも嫌っているのだ。


  原作マンガでは、しかし――審査員メンバーのオクレール教授の評価によると――、優位に立つ瀬川君の演奏は、正確無比だが、何かに脅えていて伸びやかさに欠けていたらしい。
  ドラマDVDのな解説とか、原作の人物紹介では、「瀬川君は「のだめ」の存在に脅威を感じている」と記してある。だが、はたしてそうなのか?
  たしかに天才少女「のだめ」との再会に衝撃を受けたのだろう。だが、それだけなのか。大いに疑問がある。
  これについて、私が付加しようと思う原因・理由は、
@やはり「のだめ」と同じように、子どもの頃、権威主義的なピアノ教室の先生によって心理的抑圧ないし心的外傷を負う経験をした。生徒の個性を無視した、厳しい指導と強制によって。
  瀬川君は優等生だったが、その分、その先生のマイナス評価や「折檻」に人一倍脅えて練習に通っていたため、やはり、その頃の恐怖感が甦ってくる、という原因があるのではないか。
Aマザコンのために、これまた「優等生」や「天才児」を演じ続けなければならなかった、その心の重苦しさを抱えているから、という原因もありうる。つまり、お母さんの評価が怖いのだ
B正確無比だが、いわば「型にはまった演奏」という限界を超えられない自分に、じつは焦っていて、「のだめ」を見て、その焦燥が如実になったから、という原因。
C「のだめ」に対してコンプレクスを抱いているということだが、それは彼女の技術の天才ぶりなのか、それともいかなる規矩――手順や約束事、常識――を飛び越える自由奔放さゆえなのか。

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