3つの物語「ユニバーサルソルジャー」「ソルジャー」「サイバーソルジャー」
ソロは昨夜の爆破作戦のなかで損傷して、電源回路に障害を起こしていた。主電源ユニットは修理のために取り出されていて、予備電源ユニットによって作動していた。そのため、出力は通常の3割くらいで、バッテリーもかなり消耗していた。
森に逃れたソロは、すっかり土に埋もれた、マヤ文明の時代の地方豪族の墳墓(神殿)遺跡のなかに入り込んだ。その内部の石製の台座の上に横たわると、電力消費の回避のために停止してしまった。
しばらくして、インディオの村の少年が墳墓のなかに入り込んできた。そこは、少年の秘密の遊び場らしい。少年は台座に横たわるソロを見つけた。近づくと、警戒センサーが起動したソロが目覚めた。
そのとき、毒蛇が少年の背後に這い寄ってきた。そして、毒牙を剥いて少年にとびかかろうとした。そのとき、ソロがいきなり手を差し伸べて蛇を捕えて、少年を救った。そこで、ふたたびソロの電源はオフになった。
驚いた少年は急いで村に逃げ帰って、父親を含めて大勢の村人を連れて墳墓に戻った。
村人が墳墓のなかに入ってみると、台座の上にソロが仰向けに倒れていた。村人たちは、アメリカ軍の制服を着ているソロは、軍の兵士に違いないが、少年を助けた直後に、負傷のために死亡したのだと考えた。
彼らは、少年を救った恩人が死んだということで、村に運んで丁重に埋葬しようとした。木の枝で簡易担架を拵えてソロを乗せて村に運んだ。そして、教会=集会所となっている粗末な小屋のなかに安置した。
その夜、村人は広場に集まり、村でたった1台のテレヴィを観ていた。エンジン発電機による電力供給を受けて。
おりしもそのときソロは再起動した。ソロのAIは、至急電力を補充する必要を警告していた。ソロは、小屋の外に歩き出して、死者が蘇ったと恐れる村人を尻目に、テレヴィに近づき、その電源回路とコードを引き抜いて、自分バッテリーに接続して充電を始めた。
そのまま、テレヴィ部品を持ったまま小屋に戻ると、修復用応急パーツを作って壊れた部分を直し始めた。
翌朝、ソロが電力で動くロボットだと知った村の牧師と村人たちが、ソロのいる小屋を訪れて、村中の電気製品や部品を手渡した。それらから必要な資材を取り出して。修理用部品を作るようにと。
村人の協力のおかげで、ソロは故障部分を手当てして、通常の6割ぐらいまで回復することができた。それでも、人間の兵士の何倍もの戦闘能力・運動能力を持っていた。