サイバーソルジャー 目次
サイバー兵士の心
原題について
見どころ
サイバーソルジャーとは何か
ユニヴァーサルソルジャー
ヴェトナム戦争
1990年代後半 アメリカ
サイボーグ部隊
秘密の綻び
ユニソルの暴走
故郷の家での戦い
ソルジャー
人格なき人間兵器
兵士のスクラップ&ビルド
アルカディア234の住人
意思疎通能力の欠如
トッドの孤独
新型ソルジャー部隊の侵略
サイバーソルジャー ソロ
ユカタン半島のジャングルで
ソロの逃亡
インディオの村で
ゲリラ部隊との闘い
軍とゲリラとの結託
サイバーソルジャー2号
森に消えたソロ
サイバーソルジャーの「心」
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評  決

1990年代後半 アメリカ

  それから二十数年後のアメリカ。
  合衆国では、このところテロリストグループが市民を人質にとって公共施設を占拠する事件が続発していた。これらの事件には軍の特殊急襲部隊が投入され、迅速にテロ活動が鎮圧され、人質解放がなし遂げられた。いずれの場合も、テロリストは全員殺戮された。
  テロリストたちは重武装だったことから、地方警察は軍に特殊部隊の出動を依頼した。
  事件の発生から解決までの時間が短かったため、これらの事件はマスメディアの注目をほとんど浴びなかった。

  ところが、今度はマスメディアの耳目を集めるテロ事件が発生した。十数人のテロリストがフーヴァー・ダム(ネヴァダ州とアリゾナ州の境界を流れるコロラード河にある)を襲撃・占拠し、ダム堰堤の上で観光客やダム発電所職員10人以上を殺害し、人質を取って中央制御室に立てこもったのだ。テロリストグループは、当局に拘束されている仲間の解放を要求した。
  テロリストは高性能の爆薬、手榴弾、マシンガンで武装していた。彼らは、当局の出方しだいで、人質を殺害し、さらにダム施設を破壊(ダム湖の決壊)すると脅しをかけていた。
  地元の警察はダムを遠巻きに包囲していたが、手を出しかねていた。警察は、軍に特殊急襲部隊の来援を要請した。

サイボーグ部隊

  この特殊部隊のメンバーは「ユニヴァーサルソルジャー(ユニソル)」と呼ばれていた。兵士たちは、作戦場所まで軍の大型トレイラーで運搬された。輸送されている時間、彼らは全員、冷凍室で休眠していた。
  ユニヴァーサルソルジャーは、全員が一度は戦場や訓練場で死亡した兵士だった。軍の公式記録や兵士の家族への通知では、兵士たちは「生存の可能性がきわめて低い行方不明」とされていた。そのなかには、20年以上前にヴェトナムで死亡したデヴローとスコットも含まれていた。

  兵士たちは、最新のバイオテクノロジー・サイバーテクノロジーによって蘇生され、改造されたサイボーグだった。脳の記憶や自律的判断の機能は消去され、完全に指揮官の指揮命令に服従し、善悪や好悪の感情や価値判断なしに、鎮圧や破壊、殺戮などの戦闘行動をおこなうように設計されていた。
  神経や筋肉、骨格の反応速度や強度は、普通の兵士の10倍以上に増強され、痛みの感覚は取り除かれていた。しかし、身体の運動による発熱量も大きいため、絶えず体温を下げないと身体の消耗がひどくなった。そのため、休眠時間には零下数十℃の室で休眠し、生化学装置によって身体の打撃や損傷からの回復をはかる必要があった。
  そして、一度死亡した身体を保持するため、細胞の遺伝子プログラムも改造され、死亡時の細胞組織と身体形状のまま加齢しないようになっていた。

  さて、ユニソルのティームはフーヴァー・ダムに到着すると、当初の作戦計画どおりに、監視・警戒役のテロリストを排除(抹殺)して各自の突入経路を確保した。またたくまに、3体のユニソルが中央制御室に迫り、立てこもるテロリスト全員を殺戮し、人質全員を解放した。
  トレイラーの司令室の指揮官は、ユニソルGR44号(デヴロー)に鎮圧後の中央制御室の状況の報告を指示した。ところが、44号は、人質の若い女性の姿を見て、消されたはずの死亡直前の記憶がフラッシュバックしたため、意識が混濁して報告の指示に従わなかった。
  指示命令への違反というエラーが発生したのだ。

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