3つの物語「ユニバーサルソルジャー」「ソルジャー」「サイバーソルジャー」
20036年、トッドは40歳になった。
この年、ソルジャーの実戦要員として〈新たな種〉が出現した。
遺伝子工学・バイオテクノロジー・サイバーテクノロジーによって、トッドの世代のソルジャーよりもずっと戦闘(破壊と殺戮)に適合した種族(人種)が創出されたのだ。
トッドたちの世代は、普通の生殖・妊娠で生まれた新生児を社会から隔離して育成された。ところが、新種は、完全な遺伝子操作で生み出された胚を人工子宮で細胞増殖させたミュータントだった。戦闘のためだけに特化して品種改良された、人類とは別の生物だった。
ソルジャー連隊のチーフ、ミーカム大佐は、トッドら旧ソルジャー全員を新ソルジャーに置き換えるという声明を発表した――物語の背景文脈はよくわからないが、大佐とは連隊長(の日本語訳)なので、ソルジャーを主体とする歩兵連隊が組織されているようだ。
旧ソルジャー部隊の指揮官チャーチ大尉は、突然の配置転換に反対した。すると大佐は、それなら試しに、旧ソルジャーと新ソルジャーとの「力比べ」をしてみようと言い出して、まずトッドとケイン607(モンゴロイドの姿をした新種)との持久力競争を始めた。
勝負はケイン607の圧勝。次は、天井から吊り下げられたロープに登っての、ケイン607と旧ソルジャー4人(トッドを含む)との格闘だったが、これもあっさりケインが勝利した。だが、トッドは、ロープから墜落する直前にケイン607の右目を抉り潰し、この新種に深刻な傷害を与えた。トッドは落下後、深い昏睡に陥った。
この勝負によって、ソルジャー部隊は全員が新種に置き換えられた。旧ソルジャーたちは全員、予備役に回され、武装解除された。そして、死亡した旧ソルジャー3人と意識不明になったトッドは、地球上のほかの廃棄物とともに、外宇宙向けの廃棄物運搬タンカー=巨大宇宙船に載せられ、太陽系のはるか彼方に向けて運ばれていった。
大型廃棄物とトッドを搭載した宇宙タンカーが向かったのは、アルカディア234という惑星だった。地球とよく似た環境の惑星で、呼吸ができる大気があって、その恒星系では恒星=太陽が2つあるのだが、アルカディアと2つの太陽とは非常に離れていて、地表の温度は地球と似ているらしい。
アルカディア Arkadia とはギリシアのペロポンネソス半島中央部の山岳地方の呼び名だが、映画では英語 Arcadia で、アーケイディアという発音になっている。ここでは、アルカディアと表記する。
アルカディア234は、地球人類の文明が支配するようになった宇宙空間で発生する大規模廃棄物の捨て場所になっていた。全長数マイルの巨大な宇宙タンカーが定期的にこの惑星の大気圏内にやって来て、大量のゴミを投げ落とす。
この映画で一番見事なシーンは、何艘もの宇宙タンカーがこの惑星の上空に「停泊して」夥しいゴミを廃棄する場面だ。
アルカディアの地表には、大型機械やプラント、そして廃棄された原子力空母(現在就航中の型か?)などの残骸が横たわっている。
トッドも、地表の廃棄物の山の上に投げ落とされた。