刑事フォイル第7話 目次
作戦演習
女性秘書の転落死
スティーヴン・ベック
ウォーカー邸侵入事件
ハリーとルーシー
子どもたちの資源回収
模擬作戦演習
惨殺されたハリー
殺人事件の捜査
子どもたちの冒険
ベックの極秘任務
デヴリンの戦線復帰
サイモンの狂気
フォイルが仕かけた罠
 
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第2シリーズ第3作 作戦演習

  この物語は、多国籍企業の倫理観を問題としている。貨幣の自己増殖運動としての資本、利潤稼得のために世界市場で運動する資本は、自らが帰属する国家との関係をどのように扱うのかという問題だ。
  資本は、その経済的な本性からすれば「コスモポリタン」かもしれないが、所有や分配の敵対関係の上で熾烈な利潤獲得競争を展開する権力関係、支配=従属と搾取の仕組みでもある。そのために、被支配階級からの抵抗を支配秩序の内部に包摂し、国外の競争相手から自らの権力と資産を防衛するために国家権力との結びつきを必要とする。
  ところが、資本の利殖欲求と国家の政策や利害とが衝突することもある。今回は、戦争敵対国との提携に利殖機会を見出した経営陣が、政府の戦争政策の裏をかこうともくろむ物語だ。

■原題 War Game ■
  原題を直訳すると「戦争ごっこ」だが、ここでは本土防衛隊 Home Guard による実際の戦闘を想定した模擬演習作戦(実働シミュレイション)で、ブリテン本土に上陸したドイツ軍の前進を阻む訓練が目的だ。
  とはいえ、一般市民の義勇軍は軽武装なので、もし本当にドイツ軍が上陸したら進軍の阻止はまったく無理だろう。せいぜい、住民の避難の時間を稼ぐための短時間の攪乱作戦がせいぜいだろう。それでも、抵抗すれば多数の犠牲者が出る。
  してみれば、作戦演習は一般市民の連帯感や結束を強めるための行事ということになるだろう。

  この物語では、ヘイスティングズがあるサセックス州の防衛隊を統括指揮する准将(在郷退役軍人)が模擬戦の作戦プランを立てて演習をおこなう。この場合の「准将」は Brigadier つまり旅団長(旅団 brigade の指揮官)で、これはブリテン王国陸軍の階級名だ。合衆国陸軍では Commodore ――准将カマダー:将補または代将とも訳される――と呼ばれる。

  旅団とは歩兵師団の直下の編成単位で、2ないし6個旅団で1個師団 division が編成される――師団長は少将 Major General 。
  1個旅団は2ないし6個連隊 regiment から編成された。この連隊の指揮官が colonel of the regiment 連隊長で、やがて19世紀後半から20世紀には、レジメントを省略してカーネルすなわち大佐と呼ぶようになった。
  レジメントにはレジームという語が語幹として入っているので、もともとは王・君侯の統治組織を意味していたようだ。
  16世紀以降の近代ヨーロッパの陸上軍の編成の基本単位は連隊で、旅団や師団という大規模な単位は19世紀末ごろから登場する。

  このように「旅団」とは軍事組織の規模単位であって、空間的な移動としての旅行には無関係だ。
  「旅」や「師」は、古代中国では軍隊組織またはその編成規模を意味した。「出師」とは将軍や君主が戦役に赴くことを意味した。記憶はさだかではないが、たしか『易経』に「五旅をもって一師となす」という記述があったと思う。
  周代には、一旅は500人の軍隊で、一師とは五旅で2500人の軍隊を意味した。
  明治維新以降、日本政府の知識人は、古い漢語(熟語)をつかってヨーロッパ近代の政治組織や軍事制度を翻訳したのだ。

  ヨーロッパでもアジアでも時代を下るにしたがって、軍隊の規模は拡大してきた。16~17世紀には歩兵1個連隊はせいぜい500人だったが、第2次世界戦争では2000~3000人にまで拡大した。その頃の陸軍歩兵1個師団は1万~1万6000人程度だったが、現在の合衆国の陸軍では2万5000人を超えるようになった。
  この推移は、戦争の規模と強度が時代とともに拡大してきたことを物語るものだが、国家装置が戦争のためにより大規模な資源(財政・人員・物資)を動員できる仕組みが形成されてきたという政治の傾向を意味する。

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