刑事フォイル第9話 目次
第9話 丘の家
足の引っ張り合い
フォイルの転職活動
空き家での爆死事件
ウィリアムの恋人
ウィリアムの両親
「丘の家」
「丘の家」の教官たち
偽装の綻び
悪あがきの帰結
追い詰められたSOE
付録 戦況の構造転換
Uボートの通商破壊の実相
 
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丘の家ヒルハウス

  さて、フォイルはサマンサとともにハンプシャー州のレベナムの「丘の家」に調査に赴くことにした。レベナムはヘイスティングズから100キロメートルほど西にある田園に囲まれた町だ。
  レベナムへの出張と聞いてサマンサが顔を輝かせた。彼女の叔父オーブリーが神父をしている教会があるところで、彼女の第2の故郷とも言える場所だという。
  そこで2人は丘の家の捜査に出向く前に、レベナムの教会にオーブリー神父を訪ねた。
  オーブリー神父はフォイルと姪を歓迎し、丘の家の捜査のためにこの地に滞在する間、教会に宿泊するように勧めた。

  フォイルは神父から丘の家について尋ねた。
  神父によれば、丘の家は療養施設だったが半年前に軍あるいは情報機関だかによって接収され、その活動拠点となっているという。そして、その頃から、町には見知らぬ者たちが来訪したり滞在したりするようになったという。

  フォイルはサマンサのクルマで丘の家に向かった。ところが、丘の手前に軍のバリケイドが設置され、衛兵によって停止を命じられた。衛兵は、ここから先は一般人は進入禁止だと告げた。
  フォイルは衛兵に身分・姓名を告げ、この施設の責任者に要件を取り次ぐように求めた。


  そのとき、邸宅のなかではSOEの教官たちが若い工作員候補生たちに教育と訓練を施していた。そこには、爆死したウィリアム・メッシンジャーと行動をともにしていたヤン・コモロフスキーもいた。彼は近くヨーロッパ大陸に潜入する手はずになっていたので、ドイツ軍に捕縛された場合を想定し、過酷な拷問に耐える訓練をしていた。

  一方、丘の家の責任者ウィンティンガム中佐は、直属の部下ヒルダ・ピアース女史の難詰を受けていた。ヒルダはウィンティンガムの副官=参謀格らしい。
  彼女は、反対したにもかかわらずウィンティンガムが作戦失敗でウィリアムが爆死したことを隠蔽するための偽装作戦を実行したことを非難していたのだ。
  ヒルダは衛兵から、フォイル警視正がヘイスティングズでの若者の不審な爆死事件の捜査に赴いてきたという連絡を受けて、ことのしだいを知ったのだ。
  ヒルダはフォイルがすこぶる優秀な捜査官であることを経験で知っている。そのフォイルがウィンティンガム中佐に面会を求めてきたのだ。彼女は偽装工作が暴かれる危険が大きいと判断し、自分の助言を無視して偽装工作を強行した中佐の自信過剰と軽率さを批判したのだ。

  だが、名門貴族出のエリートとして恵まれた環境で――ちやほやされて――これまで苦労もなく出世してきたウィンティンガムは、ヒルダの批判を意に介さず、フォイルと面会し、この邸宅の実態を見せよう――うまくいけば抱き込めると考えた。
  中佐の指示でフォイルを迎えに出たヒルダは、指揮官の部屋に行く前に屋敷内を案内して回った。邸内には科目ごとの訓練場所や講義室が設けられていて、銃や爆薬、毒薬、格闘技などによる暗殺の方法、賄賂や色仕かけの篭絡の方法などを訓練生の能力や個性に応じた教育訓練が施されていた。
  ヒルダはフォイルに自分たちの任務をこう説明した。ブリテンを敗戦から救うための「最後の切り札」となるべき組織で名称は秘密だ。殺害や破壊など敵地での非合法の工作を遂行するために、ここも含めて全国各地で優秀な若者たちを訓練している、と。

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