刑事フォイル第9話 目次
第9話 丘の家
足の引っ張り合い
フォイルの転職活動
空き家での爆死事件
ウィリアムの恋人
ウィリアムの両親
「丘の家」
「丘の家」の教官たち
偽装の綻び
悪あがきの帰結
追い詰められたSOE
付録 戦況の構造転換
Uボートの通商破壊の実相
 
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追い詰められたSOE

  翌朝早く、SOEの偽装工作の証拠を固めたフォイル一行は、丘の家に向かった。 ウィンティンガム少佐がフォイルたちを追い返そうとしたところ、ファイルは舌鋒鋭く彼が指揮した偽装を暴き立てていった。
  すなわち、半年も古い地図情報をもとに潜入作戦を強行してウィリアム・メッシンジャーを死に追いやったこと。 しかも、その失策を隠蔽するため、墓荒らしと爆破(住居破壊)、2人の女性を使った偽証、さらにはフォイルの自動車への破壊工作(殺人未遂)などをおこなったことを。
  だが、ウィンティンガムは秘密情報機関のエリートとしての特権的地位を利用して窮地を脱するつもりのようだ。

苦肉の結末
  ところが、丘の家を後にしようとしたフォイルにヒルダが追いすがって嘆願した。
  ナチス・ドイツの攻勢に後手後手に回っているブリテンが戦争に勝利するためには、SOEという組織そのものを維持しなければならない。
  ウィンティンガムはまもなく失敗続きの作戦の責任を追及されて失脚する――ロンドンの情報部首脳はその準備をしている。
  だから、今回のウィリアムの自殺偽装工作を立件しないでほしい、というのだ。
  フォイルは仕方なく、その要請を飲むことにした。


  そんなところに、ジャイルズ・メッシンジャー夫妻がクルマで訪れた。ウィリアムの遺品を取りに来たのだ。
  クルマから出てくるなり、ジャイルズはフォイルを問い詰めた。
  「君は息子の自殺について不審な点があると言ったが、どうなったのかね」
  「いや、私の読み違いでした」
  「では、君は息子の死をあたら嗅ぎまわったうえに、何もなかったと言うのだな。
  そんな無能な警察官が海軍情報部に勤務するというのを私は許さん。ノーブル提督にはそういう意見を伝えて、君を雇うのを阻止する!」
  こういう攻撃的で狷介な性格で権威をやたらに振り回す父親の態度に辟易して、息子のウィリアムは父親とは政治的に対立するSOEに入ったのだ。そして、父親を見返してやろうと意気込んで、ウィンティンガムの無謀な作戦の駒となって爆死するという、悲惨な結果になったのだ。

  とにかく誰に対しても角を突き立てたがるジャイルズは、こうしてフォイルの海軍への転属を妨害した。
  ウィンティンガムの作戦指揮の失敗と偽装工作の事実を腹のなかに収めるしかなかったフォイルは、せっかくつかんだ転職の機会を失った。それが彼の愛国心というか騎士道精神の結果だった。
  とはいえ、サマンサにとっては、ミルナーも引っ越しと退職を思いとどまったこともあって、働きやすい職場が続くことになった。

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