刑事フォイル第9話 目次
第9話 丘の家
足の引っ張り合い
フォイルの転職活動
空き家での爆死事件
ウィリアムの恋人
ウィリアムの両親
「丘の家」
「丘の家」の教官たち
偽装の綻び
悪あがきの帰結
追い詰められたSOE
付録 戦況の構造転換
Uボートの通商破壊の実相
 
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偽装の綻び

  その頃、ヘイスティングズで捜査を続けているミルナーは、ソーンダイク夫人を訪ねて追加の事情聴取しようとした。ところが、夫人は旅支度で出かけるところだった。大した質問もせずに引き上げたミルナーは、巡査2人に夫人の尾行を指示した。   だが、夫人は駅まで行って尾行の2人を巻いて、列車で町からどこかに行ってしまったようだ。
  その時間帯にこの駅を停発車した列車は、ロンドン行きとレベナムに停車する西方面行きだけだった。
  夫人が行方をくらました理由は、地元警察の追及から逃れるためで、つまりは、偽装工作が綻び始めたということを意味する。
  フォイルは丘の家で、ソーンダイク夫人の変装を外した女性事務員が帰還したのを目撃していた。

  他方、ウィリアムの恋人だと名乗り出た若い女性、マリオン・グリーンウッドもヘイスティングズを脱出しようとした。だが、ミルナーの指示で監視していた警察官の連絡を受けてミルナーが尾行し、彼女がレベナム往きの列車に乗ろうとしていることが突き止められた。
  ミルナーは、同じ列車に乗って彼女を追尾することにした。そして、フォイルたちが滞在するレベナムに到達した。マリオンと名乗った女性は、SOEの本拠である丘の家に帰還しようとしていたのだ。
  こうして、ウィリアム・メッシンジャーの偽装自殺に関するミスリード情報を提供したのは、すべてSOEの手の者たちだったことになる。

  ところで、「お転婆探偵」サマンサは、叔父のオーブリーとの会話のなかから疑惑の解明につながる情報をいくつも引き出していた。
  そのひとつ目は、先頃、彼女の幼なじみで大工のテッドが転落事故(頸椎骨折)で死亡して埋葬されたのだが、その墓が荒らされた可能性がある――墓標に備えられたガラスの花瓶が壊されたことから――のを突き止めたこと。
  二つ目は、地元住民からスパイではないかと疑われている中年の旅行者が、軍事演習のために回線切断されたため使えなくなった電話ボックスに頻繁に出入りしていること。
  しかも、その男は丘の家を監視している様子だということ。
  三つ目は、その電話ボックスに丘の家のスタッフがときおり入ること――監視役の旅行者と秘密の連絡を取り合っているもようだ。


  サマンサは電話ボックスのなかを調べて、SOEがフランス潜入作戦で使用した「極秘資料」であるルーアン近郊サンテティエンヌの地図を発見した。丘の家の機密情報の管理体制はまるきりなっていないということだ。
  その地図は、ルーアンのレジスタンスが用意したものだった。だが、ファクトゥールのパラシュート降下よりも半年も前の地図で、ドイツ軍が一帯の森と草原に地雷を敷設する以前のものだった。
  そんな地図をもとに降下作戦を決行したため、ファクトゥールは地雷原に着地して爆死したのだ。
  それにしても、その地図は部外秘の情報のはずだ。ところが、そんな資料がいともたやすく外部に持ち出され、監視者の手に渡されようとしていたのだ。

  その頃、丘の家では、ヒルダ・ピアース女史が、最新の地理情報を待たずにフランス潜入を強行したウィンティンガムを責めていた――ファクトゥールが無駄死にしてしまった、と。どうやら最近、その失態をロンドンの秘密情報局のトップがつかんだらしい。

  さて、フォイルはウィンティンガム中佐の勧めで丘の家に一泊することにし、その間に丘の家の様子や教官たちに探りを入れることにした。
  そして、ジャック・デュモンの偽装を見破った。彼は休憩時間中に英字新聞のクロスワードパズルを解いているのに、他方で英語の言い回しがわからない振りをし、しかも在住していたはずのパリの地理についても知識が乏しかったからだ。彼はフランス人ではなかったのだ。

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