ガタカ 目次
人生は遺伝子では決まらない
原題と原作について
見どころ
あらすじ
適正者と非適正者
共同主観としての「優劣序列」
優劣の逆転
社会の階級構造と抜け道
ユージーン・モーロウ
虚偽のパースナリティ
殺人事件
…ヴィンセント包囲網
美女の接近
適正者と非適正者
遺伝形質の意味
アントニオの捜査指揮
2人のジェローム
兄弟対決
宇宙への旅立ち
科学技術と価値観の人類史
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炎のランナー
医療サスペンス
コーマ
評  決

見どころ

  近未来社会。生化学と医学の進歩で、将来、自分の子どもたちをエリートに仕立て上げたい親たちは、精子や卵子の遺伝子構造を事前に解析して、そのなかから優秀な因子だけを選び抜き、「病理」や「異常」の要因となりそうな因子を除去して受精させる妊娠による出産を求めるようになっていた。
  企業や行政機関の幹部や指導部には、遺伝子操作で生まれた「適正者( Valid )」が選ばれるような社会的階級構造ができ上がっている。ヴァリッドには「健常者」とか「心身に欠陥がない者」という意味がある。
  社会的地位や職業においては、適正者と非適正者とのあいだに極端な差別と格差が設けられている。とくに宇宙飛行士は、エリート中のエリートで、「適正者」のなかから激烈な競争を勝ち抜いた者だけが選抜される。

  性行為による妊娠と自然出産で生まれたヴィンセント・フリーマンは、幼い頃、一度は宇宙飛行士を夢見た。が、家庭内では、遺伝子工学によって「優秀な遺伝形質」を集めて生み出された弟、アントニオとのあいだで、体格、身体能力、知能、疾病への免疫力などで明白な差をつけられていた。
  両親も、はじめからエリートに育て上げるつもりのアントニオを何ごとにも優遇していた。
  ある日、この「押しつけられた格差(劣位)」から逃れるために、ヴィンセントは家出した。社会的に格付けの低い仕事に追われる毎日のなかで、ヴィンセントは幼い頃の夢に挑戦しようと決意した。
  ところが「普通の能力」の彼が、体格や知能で高い評価を受ける「適正者」に伍し追い抜くためには、並外れた努力、精励刻苦と強靭な意思が必要だった。
  だが、他方で、エリートコースを期待され高い業績を達成している「適正者」のなかにも、懊悩や心の傷に苦しむ人びとがいた。しょせん、人は人である限り、「ヒト」ないし社会的・文化的生物としての存在意味=限界のなかでしか生きられないのだ。偶然性、偶発性の連鎖のなかで、右往左往するのだ。

あらすじ

  近未来社会。
  社会のエリート層は、遺伝子操作によって「優秀な遺伝形質」だけを備えた「適正者」から選抜・形成されていた。自然受精・自然出産で生まれた者たちは「不適正者 invalid 」として劣位に置かれ、差別・冷遇されていた。なかでも、宇宙開発をめざすエリート企業《GATTCA》は、「適格者」のなかに厳しい競争を持ち込み、スーパーエリート=宇宙飛行士育成をめざしていた。

  ヴィンセントは、以前はエリートだったが事故で障害をもつようになったユージーンから身分人格を譲られて、ガタカのエリート選抜コースに挑戦を試みることにした。
  しかしあるとき、ユージーンに扮したヴィンセントは、元の自分つまり「ヴィンセントという人物」が殺人事件の容疑者として指名手配されたことに怯えた。偽装をやめて逃走しようと考えた。
  だが、ユージーンは心配ないと主張して、人物偽装をこのまま続けさせた。おりしも、偽のユージーンに魅了された美女、アイリーン・カッシーニが接近してきた。やがて、2人は恋人どうしになる。そして、ヴィンセントのタイタンへの宇宙飛行の日程が迫って来た。
  一方で、犯罪者としてのヴィンセントへの包囲網はどんどん狭められていく。彼が宇宙飛行士になる道は残されているのか。

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