2人は、グランサムに情報提供をしようとした「ガルシア」が誰かをつきとめることにした。グランサムは公衆電話を見張ってたときに、その男の写真を撮影していた。彼はおそらく、マティースの石油採掘会社の顧問法律事務所の弁護士に違いない。だから、ホワイト&ブレイゾヴィッチ法律事務所の弁護士の顔を知るものを探せばいい。
そこで、ある名門のロースクールの院生で、その法律事務所でアルバイト(テンポラリーワーク)をしたことがある若者を探すことにした。彼は、リハビリ専門の療養施設に入所していた。アルコール依存症からの離脱をめざしていたのだ。
ダービーは、グランサムの誘導でその施設に入り込み、若者の姉の振りをして個室に入り、写真を見せながら若者から法律事務所の弁護士の名を聞きだした。
モーガンというファミリーネイムだとわかった。弁護士名鑑を調べると、カーティス・モーガンだとわかった。
次に、ダービーはモーガンのクライアントに扮して、ワシントンのホワイト&ブレイゾヴィッチ法律事務所を訪ねた。だが、その前の週、モーガンは街路上で暴漢に襲われて殺されていた。明らかに、秘密を知ったモーガンを狙っての謀殺だった。
これで、6人目の暗殺被害者だ。あまりに凶暴な事件だ。ダービーはひどい吐き気を催した。だが、闘いを止めるつもりはなかった。
カーティスは、家族に当てて何か手がかりを残しているかもしれない。そこで、彼の遺族、妻に会って、何か事件に関して資料を受け取っていないか尋ねることにした。モーガンの妻は、今は生まれ育った両親の家に滞在していた。
だが、マスメディア嫌いの妻の父親に追い返されてしまった。しかし、帰り際、グランサムは自分の名刺を置いてきた。「気が変わったら、連絡してくれ」ということで。
ところが、モーガンの妻の実家には、殺し屋ティームが網を張っていた。この家には盗聴装置が仕かけてあった。
ある日の真夜中、グランサムに電話がかかってきた。モーガンの妻からだった。話したいことがある、と。早速、グランサムが駆けつけて彼女と面談した。彼女によれば、モーガンの遺品のなかに手がかりらしいものは何もなかった。だが、これまで利用したことがない銀行の貸金庫の鍵と暗証番号が見つかったという。けれども、悲惨な夫の死をめぐって恐ろしい事実が浮かび上がったら堪えられないと、調べることをしなかったのだという。
死んだ夫の名誉を傷つけるような事態になったら、貸金庫のあるはず資料を破棄するという約束で、グランサムは鍵と暗証番号メモを受け取った。彼は、「相棒の女性があなたに扮して銀行に行くことになる」と告げた。
その情報は、殺し屋グループにも筒抜けだった。