ペリカン文書 目次
大統領府の謀略
原題と原作について
見どころ
あらすじ
発   端
法科大学院で
「概要書」の独り歩き
大統領補佐官の暴走
  殺し屋カーメル
  「内通者」ガルシア
忍び寄る魔の手
  ヴァヒークの殺害
グランサムとダービー
追い詰められる大統領
ダービーとグランサムの闘い
カーティス・モーガンの死
ダイイングメッセイジ
反撃、そして取引
大統領失脚
作品が描く人物と社会
  ダービーの能力
合衆国の司法制度の1断面
  陪審制とサーキットコート
  複合的で多様な裁判制度
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コーマ
評  決

反撃、そして取引

  グランサムは夕方5時過ぎに3通の電話をかけた。
  1人目は、ホワイト&ブレゾヴィッチ法律事務所のシニアパートナーの1人(故モーガンの上司)。2人目は大統領補佐官のコール。3人目は、FBI長官のヴォイルズだった。
  内容は、「ペリカン概要書」の推論が正しいことを証明する特集記事が明朝の新聞に掲載されること。その記事の要旨は、マティースとその顧問弁護士たちが最高裁の2人の判事を殺害を企み実行したことを暴露し、この謀略は、ルイジアナの海辺の湿原の石油開発・採掘を認める判決を最高裁で勝ち取るためだった、というもの。
  コールはその日のうちに大統領宛に辞表を書いた。マティースとその顧問弁護士は、新たな(はるかに辣腕の)弁護士探しを始めたのだろう(今後の訴追法廷に備えて)。

  ところが、ヴォイルズはすぐにワシントン・ヘラルド社編集長に交渉を申し入れた。FBIがつかんでいる情報を開示するのと引き換えに、記事の差し替え(内容の変更)を求めて。

  間もなく新聞社に、ヴォイルズがヴァヒークの後任の特別顧問弁護士を引き連れて現れた。FBI長官が明かした情報の内容は、つぎのとおり。
@判事暗殺事件の捜査の停止を大統領が要請したこと。それゆえ、表向きには、「ペリカン概要書」に沿っての事件の捜査はしていないことになっていること。
A大統領の要請は、現場で隠しマイクで録音してあること。大統領の態度しだいでは公表し、大統領も共犯者(事後従犯)ないし幇助者として訴追し、上院(元老院)での弾劾に持ち込むであろうこと。
Bだが、ヴォイルズは、ヴァヒークの殺害後に、単独で事件の捜査とダービーの生命の保護を指揮していたこと。遊園地でダービーを射殺しようとしたカーメルを殺したのは、長官の特命を受けたCIAエイジェントだった。
  以上から、記事変更の方向としては、FBIが「ペリカン概要書」の推論に沿って真実を解明してきたことを報道してほしいというものだった(であろうと私は推測する)。

  そして、ダービーの身の安全を保証するために、FBI長官専用機で彼女を安全な場所に逃がすこと、そのさい、今後の安全確保のためにグランサムを通して連絡が取れるようにすること、という取引が成立した。
  グランサムは、この条件を引き出すために、記事掲載の前日に3人に電話したのだった。彼が狙ったのは、FBIによる事件の関係者の訴追と、現大統領の2期目への立候補辞退という結果だった。記事の内容は、ダービーの安全を優先して、FBIの要求に応じるつもりのものだったようだ。

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