原題 : The Longest Day(1962年)
意味は、「とてつもなく長い1日、かつてなく長い1日」。英仏海峡をはさんで対峙する両軍にとって、きわめて大きな意味を持つということ。
つまり、この1日に、人類の戦史上最も大がかりな準備や経過・前史が集約されているとういことでしょう。
原作 : Cornelius Ryan, The Longest Day, 1959
コーネリウス・ライアン著『とてつもなく長い1日』、1959年。第2次世界戦争、1944年6月6日のノルマンディ上陸作戦をめぐる過程を分析した戦史。
「とてつもなく長い1日」という言葉は、この上陸作戦を阻止しようとするドイツ軍のロンメル将軍の訓示にあるものだとされています。
見どころとテーマ
連合軍のノルマンディ上陸・侵攻作戦は、ヨーロッパのナチスからの解放にとって決定的に重要な意味をもっています。
この作戦は、連合軍が西ヨーロッパの大西洋岸にナチズムを撃破していく拠点をつくるもので、東ヨーロッパでのソ連の侵攻に呼応するものでした。だが、そこにいたる道は険しいものでした。
ここでは戦史研究として、ドイツ軍の電撃戦の成功と、成功ゆえの没落の要因を探りながら、映画の物語に沿ってヨーロッパの軍事的解放への過程を一瞥すします。
ヨーロッパの西側からの対ナチス反撃作戦、つまり「第2戦線」の構築をめぐっては、連合諸国陣営でアメリカとブリテンとのあいだに意見の対立があった。
ブリテンは失いつつある世界覇権を回復し、ヨーロッパと中東へのソ連の進出を抑えようとして、バルカン半島からの進撃を提案する。
しかし、いち早くナチスからヨーロッパを解放し、ドイツの軍事力を撃滅しようとするアメリカはこれに反対。
結局、アメリカのイニシアティヴで北フランスからの上陸侵攻の路線が選択された。44年6月6日未明から、ついにノルマンディ上陸作戦が始まった。
しかし、ネーデルラントからフランス一帯を支配するドイツ軍は、英仏海峡からの連合軍上陸を阻止するために、分厚い戦線を構築していた。
そこにいくつも小さな穴をあけ、上陸、反撃拠点を築くことには、大きな障害が立ちふさがっていた。連合軍は長く苦しい準備を進め、大きな犠牲を払って、上陸作戦を敢行した。
天候の激変や的側の油断といった、小さな偶然がいくつも重なって、連合軍に幸いしたようだ。
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