レッドオクトーバーを追え 目次
原題と原作について
見どころ
あらすじ
発端
レッドオクトーバー
ジャック・ライアン
原潜ダラス
艦長ラミウス
キャタピラー
ソ連東欧の経済=財政危機
偽の演習作戦命令書
キャタピラー
巨体は技術の遅れが理由
コンピュータ技術の遅れ
消されたシーン!?
ラミウスの挑戦状
謎の原潜の痕跡
ライアンの読み
大統領補佐官の命令
レッドオクトーバーを追え
安保外交上の駆け引き
アメリカの当面の対応
ライアンの賭け
「気が狂ったイワン」
亡命のプロット
キャスティング
レッドオクトーバー追撃
破壊工作(サボタージュ)
危難を利用する
トリック&トラップ
破壊工作(サボタージュ)
海の大芝居
海面下の一騎打ち
トゥポレフ艦長
潜水艦戦
海上と海面下
ペルトとソ連大使
ラミウスとライアン
「冷戦構造」とはなんだったのか
軍産複合体の支配
諸国家の軍事的生存環境
パクスアメリカーナ
軍産複合体の「成功」

◆消されたシーン!?◆

  このシーンは数回登場します。
  私は1990年頃、この作品の封切り日の初回にマリオンでこのシーンが数回あるのを観ました。だが、その2週間後、同じ映画館で観たときは、なかった。
  ヨーロッパ地域向け版ではあるらしいのですが。
  日本の映画館での上映ヴァージョンではほとんどの場合なかったようです。なぜそうなったか、政治的な理由がありそうです。

  この場面は、ソ連の最新鋭原潜の内部で、艦の存亡がかかる航路と船体の制御が日本製の小さな電卓に左右されているというソ連の軍事技術の歪みを、一種のユーモアをもって観客に伝える「プロット&ウィット」の1つで、重要なシーンのはずでした。
  おそらく、この映画の制作陣が、当時のソ連のコンピュータ・機械工学の実情を調査して、軍事技術の彼我の差を歴然と見せるために演出したシーンでしょう。
  説明もなくそれが消えているのです。
  1個の自立した芸術作品として、また記録資料としての映画の意味や尊厳を貶めるもので、実に悲しいできごとです。

ラミウスの挑戦状(亡命意思の表明)

  さて、ラミウス艦長は亡命の意図を記した私信を、妻の伯父でソ連海軍政治部長、パドーリン提督あてに、出航の翌日に到達するように、送っていたのです。
  何という大胆というか無謀な挑戦でしょうか。
  クレムリンでは大騒ぎになります。首脳部は、緘口令を敷き、ただちにソ連の(北海、北極海、大西洋、地中海などの)主要艦隊を北大西洋に送り、レッドオクトーバーの追跡と撃沈をめざすことになりました。

  こうして、多数の艦隊が派遣した主力艦船が、北アメリカから遠くない北大西洋に大々的に集結・展開します。
  60隻にものぼる艦船・原潜の異様な活動、そして多数の対潜哨戒機のあわただしい動きは、当然、合州国とNATOの警戒態勢を呼び起こさずにはいません。

◆謎の原潜の痕跡◆

  ラミウスが偽の作戦命令書を発表している頃、スカンディナヴィアとアイスランドの中間の海中にいたダラスは、1隻の正体不明のソ連大型原潜の動きを察知しました。
  ところが追跡を開始してまもなく、その大型原潜は消えてしまったのです。ソナーは、この原潜の推進音を捕捉できなくなったのです。
  そして、消えた原潜の方向から、人の歌声と識別されるような音響が届きました。
  そのときレッドオクトーバーは、通常のプロペラ推進からキャタピラー推進に切り換えたのです。そして、あの歌声はレッドオクトーバーのクルーたちが歌うソ連国歌でした。

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